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えっ、リーダーなのにまだ弱さを見せていないの? ~THE CULTURE CODE から知るチームビルディングに必要な要素~

はじめに

こんにちは。
ウェブクルー AdventCalendar 5日目の記事です。

記事自体は読書と筋トレをこよなく愛するソロ充エンジニア まがみん による個人用アウトプットになります。
推し読書サービスは要約アプリflierです
https://www.flierinc.com/

今回はタイトルの通り、THE CULTURE CODE 最強チームをつくる方法からチームビルディングに必要な要素として「弱さ」に注目した記事を投稿させていただきます。

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MBAホルダー vs 幼稚園児たち

皆さんはマシュマロチャレンジってやったことありますか?
スパゲッティの芯・セロテープ・糸をつかって塔を作り上げて、てっぺんにマシュマロを乗せる塔をなるべく高く作り上げるやつです。
わたしも学生時代一度やったことあるのですが、結構難しいんですよねアレ。

今から数年前、デザイナーでエンジニアのピーター・スキルマンが「どの組み合わせのチームが一番チームとしてパフォーマンスを出せるのか」という実験を行ったそうです。
スタンフォード大学やカルフォルニア大学、東京大学も参加したその実験は前述した「マシュマロチャレンジでどのチームが一番高く塔をたてることができるか?」というものでした。
参加チームの中には前述した大学のビジネススクールの卒業生(MBAホルダーたち)もいれば、幼稚園児のチームもあったそうです。
さてMBAホルダーチームと幼稚園児たち、平均してどちらが高く塔を積み上げられたと思いますか?

勝ったのは幼稚園児たちでした!!
幼稚園児たちの作った塔は平均して66センチの高さがあったのに対して、MBAホルダーチームは平均して25センチにも満たなかったようです。

これらの実験でも明らかになったように「個々の力の足し算 = チームとしての優秀さ」では無いようです。
では、優秀なチームとはなにか?それに迫っていきたいと思います。

優秀なチームの共通点とは?

幼稚園児たちにMBAホルダーチームが敗北したという衝撃的事実からTHE CULTURE CODEの著者であるダニエル・ピンクは世界で最も成功している8つのチーム、例えば軍の特殊部隊、プロバスケットボールチーム、映画スタジオから宝石窃盗団を実際に訪ね、分析を重ねました。
結果、それらのチームには以下の3つの共通点が有りました。

1.  安全な環境
2. 弱さを見せる
3. 共通の目標

「1.  安全な環境」と「3. 共通の目標」に関してはエンジニア業界でも大切と言われていることですね。
しかし、優秀なチームに「弱さを見せる」が必要だというのは意外だったと思う人もいるのではないのでしょうか。
本記事では「2. 弱さを見せる」について、掘り下げてみましょう。

「弱さを見せる」とは

「弱さを見せる」ことはなぜ大切か?それは「弱さを見せる」ことで会話の相手とより深いつながりをつくることができるからです。
本著から文章を引用します。

サンアントニオ・スパーズのゼネラルマネジャーR・C・バフォードは、プロスポーツ史上もっとも成功した幹部の1人だ。
しかし、それを知らずに彼の仕事ぶりだけを見ると、アシスタントと勘違いするかもしれない。
バフォードは物静かで、親しみやすい人柄だ。人の話を熱心に聞き、いつも謙虚な気持ちを忘れない。
取材を始めたばかりのころ、彼は何人かのスター選手の引退が迫っていることを話題に出すと、「先のことを考えると、恐ろしくてたまらなくなる」と告白した。  
彼は自分の不安を隠して、いいところばかりを見せることもできたはずだ。ドラフトの好成績や、育成システムの充実、若手の順調な成長、トレードの成功、チームの士気の高さや結束力などを自慢してもいい。  
しかし、彼は違う道を選んだ。自分の完璧さを誇示するのではなく、会ったばかりの私に内心の恐怖を告白したのだ。

上記を読んで、あなたが取材者ならバフォードの謙虚さ・弱さの開示に対してどう思うでしょうか?
逆にバフォードが自分の実績を自慢してきたらどう感じるでしょうか?
おそらく自慢よりも弱さを開示してくれたバフォードに対して親近感を覚えるのではないでしょうか。

では、メンバー間で親近感・深いつながりがあると何が良いのでしょうか?
本著では「強いチームにはぎこちない瞬間・気まずい空気・激しい痛みを伴う治療をあえてデザインし、互いに信頼し結束力を高めている」と書いてあります。
ピクサーでは、「ブレイントラスト」と呼ばれ、製作中の映画を分析・改善する会議が該当し、そのフィードバックは「キャラクターに深みがない。ストーリーが分かりにくい。ジョークが笑えない」など重めのフィードバックが返ってくるそうです。
ピクサー社長のエド・キャッスルは「ブレイントラストは我社でもっとも価値のあるプロセスだ。(中略)思ったことを何でも発言できる。それがブレイントラストが成功している一番の理由だろう」と発言しています。
ここまで重くはないですが、Webエンジニア業界でいうところの「レビュー文化」がそれに該当するかもしれません。

まとめると、組織・チームが強くなるには「ぎこちない瞬間」がどうしても必要になります。
しかし、「ぎこちない瞬間」によりチームが空中分解しないためには前提としてチーム感における「深いつながり」が必要となります。
その深いつながりをつくるのにメンバー間で「弱さを見せる」という行為が効果的というわけです。

強いリーダー不要論

ここでチームに必要なリーダー論・リーダーシップにも触れてみたいと思います。
結論から言うと「中長期的にチームの成長を望むなら、常に強いリーダーシップを発揮する必要はない」です。
※ 「強いリーダーシップ」という言葉・用語は存在しませんが、「権力を持ち、それを行使して部下に作業を強いる」ような人物像・リーダーシップが当てはまると考えてください

では、どういうリーダーシップがチームに求められるかというかと、書籍「スタンフォード式 最高のリーダーシップ」ではアサーティブリーダシップが求めれれると書いてあります。

アサーティブ・リーダーは、積極的に主張し、人を動かす。エゴと謙虚さのバランスをうまくとって、弱さを内包した本当の意味での強さを身につける。さらには、自分自身を尊重し、人を否定することなく、自分とチームの利益のために行動できる。
flierより引用

上記の通り、「積極的に主張し、人を動かす」ことのできる「強さ」は求められますが、同時に「エゴと謙虚さのバランスをうまくとって、弱さを内包」することも求められます。
この「弱さを内包」というのは、前述した「弱さを見せる」でも例に上げたR・C・バフォード氏のも見られます。

「弱さ」というのはいろんな解釈ができるため、一様には表現できませんが、「リーダーだから弱さをもってはいけない」という心構えは現代におけるビジネス心理学では推奨されず、むしろそれを内包して武器として使うことが推奨されていると覚えておいてください

ちなみに、「強いリーダーシップ」が全くダメなのかというとそうではなく、短期的利益が求められる「四の五の言わずに急を要する業務」では「強いリーダーシップ」のほうが向いているかもしれません。
結局、「銀の弾丸」はなくその時の業務・チーム状態によってリーダーとしての力も最適化するのが一番良いと思われます。

まとめ

以上、「弱さ」を中心にチーム・リーダーシップについて書いてきました。
「弱さ」という一見ネガティブな要素がチームで「強み」にもなりうることに驚いた人もいるのではないでしょうか?
もちろん「弱い」だけではダメですが、「弱さ」を見つめ、勇気をそれを開示しチーム内で「つながり」を作ることが出来た時、それは大きな武器になることでしょう。

最後に「THE CULTURE CODE」から一文引用させていただきます。

信頼しているから弱くなれるのではなく、信頼より先に弱さが存在する

ご精読ありがとうございました。

明日のカレンダーは@t_matsuさんがExcel関数について書いてくれるそうです。
よろしくお願いします。

引用

THE CULTURE CODE 最強チームをつくる方法
flier 「THE CULTURE CODE 」
スタンフォード式 最高のリーダーシップ
flier 「スタンフォード式 最高のリーダーシップ」


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