パーマに関わる毛髪の結合とは
パーマの基本原理
毛髪の主成分のケラチンを構成しているポリペプチド鎖(主鎖)
それは毛髪の縦の方向の結合
シスチン結合、塩結合、水素結合などの鎖(側鎖)
それは毛髪の横の方向の結合
主鎖に側鎖がつながって網目構造になっています。
この網目構造の結合が毛髪に弾力を与えます。
指に巻きつけても元の形状に戻るのは弾力による復原力です。
この復元力をパーマ1剤の作用で側鎖を切断する事によって弱めます。
希望のウェーブに合わせた位置で側鎖を再結合させることが2剤の作用です。
この1剤と2剤の反応によって持続性のあるウェーブをパーマと言います。
この時に結合、再結合に利用するのはジスルフィド結合という部分です。
もちろん縮毛矯正やウェービーヘアをストレートにする原理も基本は同じです。
側鎖の特徴
主鎖と絡まって弾力を出す側鎖にはこんな種類があります。
塩(イオン)結合
ペプチド結合
ジスルフィド結合
疏水結合
水素結合
最近ではアミド結合やイミン結合などを利用したメニューも開発されてきました。
塩(イオン)結合
pHがアルカリ性に傾くと結合が切れて柔らかくなり、酸性に傾くと結合して硬くなります。
ペプチド結合
この結合は髪の骨格といえる結合で、切断すると戻らず髪の強度が下がります。
ジスルフィド結合
パーマと非常に関係が深い結合です。S-S結合の還元と酸化の作用を利用して髪の形状を変える事ができます。
疎水結合
中性アミノ酸同士が集まったり結合して疎水になることをいいます。結合を利用するというよりも状態を表します。
水素結合
水分を含むことによって切れる結合です。乾くことで再結合して強固な結合となります。ブローやセットで利用する結合です。
パーマと側鎖の関係
パーマ1剤の内容成分
水:溶剤の大部分を占める
アルカリ剤:アンモニア、アミン系、炭酸水素アンモニウムなど
還元剤:チオ、シス、システアミン、チオグリセリン、スピエラ、GMTなど
感触剤:PPT、油分、保湿、ポリマーなど
その他:酸化防止剤、乳化剤、キレート剤など
パーマ2剤の成分
水:溶剤の大部分を占める
酸化剤:ブロム酸、オキシ
pH調整剤:リン酸、リン酸塩、クエン酸
感触剤:PPT、油分、保湿、ポリマーなど
その他:酸化防止剤、乳化剤、キレート剤など
パーマの流れに合わせた結合の変化
パーマは1剤の塗布から2剤の塗布、そしてドライするまでが一連の流れになっています。
パーマ1剤を塗布
水分が水素結合を切断
アルカリ剤が(イオン)結合を切断
還元剤がS-S結合を切断
↓
ロッドを巻く
切断された結合を希望する形状にずらす
↓
中間水栓
↓
パーマ2剤を塗布
pH調整剤が塩(イオン)結合を再結合
酸化剤がS-S結合を再結合
↓
シャンプートリートメント
↓
ドライ
ドライして水分がなくなって水素結合が再結合
パーマが髪のダメージとなるポイント
ペプチド結合の加水分解による切断
ペプチド結合は髪の骨格を作るのに必要不可欠な結合ですが、アルカリまたは酸で加水分解されます。極端な場合は髪が溶けてポーラス毛になります。
ミックスドジスルフィドの生成
S-S結合の切断が酸化反応で完結しない場合、毛髪中のS-S残基にチオグリコール酸が異種の二硫化物としてミックスして固定されます。
本来のS-S結合と違い強度の低下や感触を低下させます。
ランチオニンの生成
ケラチンをアルカリの強いパーマ液や脱毛剤で処理するとランチオニンが生成され、特に縮毛矯正などヘアアイロンの高温との併用で多く生成されます。
パーマ剤の正常な反応は結合を切ったり再結合する事ができ、何度でもパーマをかけることができます。
このランチオニン生成の反応は一度生成すると、元のS-S結合には戻らず、カラーやパーマのやりにくい損傷した髪となります。
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