1月📖

🍑フランツ・カフカ「変身」
 私は虫が本当に苦手なので、虫そのものを想像してしまうとたいへんに気持ち悪くてそこが重要になってしまうので困りました。人間ではない姿かたちの、忌み嫌われるナニモノ。
 グレゴールがそれまで誰かのためにしてきたことも、家族に対して示されてきた愛情も、全部見えなくなって、なかったことになってしまって。人は年老いていけば誰でも「虫」になる可能性があるのだろうか…なんて考えたら、自分のこれからや家族のこれからに、もっともっと丁寧に向き合わないといけないなという気持ちになりました。
 それが本当の愛だったら、見た目がどうなっても、役に立てても立てなくても、うけいれることかできるのかしら。

🍑中山七里「さよならドビュッシー」
 ずーっと読みたい読みたいと思っていたら、あっという間に時はすぎていたらしく、はじめて読みたいと思ったのは恐らく発売当初の10年近く前だったということを知って、思ったより時の流れは残酷だった。
 このお話の何よりすごいところは、とっても詳細な音楽に対する描写だと思いました。私は本の中に出てきた曲をプレイリストにまとめることがとても好きなので、この1冊だけでプレイリストにぐっと豊かさや深みが増した気がします。

🍑谷崎潤一郎「刺青」
 まだ読んだことないなーと気になって読んでみましたが、終始なまめかしい!艶っぽい!あと痛そう(そこじゃない感)。私にはこんなふうな浅い感想しか浮かんでこないので、まだまだ谷崎の作品についてはお勉強が必要ですね。もうちょっと理解を深めたい。今年の目標にしようかな。

🍑芥川龍之介「トロッコ」
 こういう小さい時の大冒険って、あるよなーって思いながら読み返しました。幼いながらの無鉄砲に物事を進めたくなるあの果敢さも、それがある意味で思い通りにいかず裏切られた時の堰を切ったように溢れ出る不安も、ありありと想像できた。そういう経験って、大人になっても鮮烈な記憶として残るんだろうな、とも。
 どんなに大人になったとしても、あの土工たちに「われはもう帰んな。」と言われたときのような唐突な不安が襲ってくることに、無意識に心のどこかで身構えているのかも。

🍑菊池寛「蠣フライ」
 切なくてあったかい気持ちになったお話。何気ない日常のワンシーンというのがすごくリアルだった。ふとした瞬間に、そのとき大切だった人のことを思い出すことは少なからずあって、さみしくなってみたり、うれしくなってみたり。ここでうれしくなれるのはきっと、やさしいひと。

🍑江戸川乱歩「魔術師・黒手組」
 特別な感想はないのだけど、いつも通り楽しくて、いつも通りわくわく。乱歩さんの作品にはんだか安心感すら覚える今日このごろ。

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