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「「利回りの順序」という名のリスク」



1990年代の米国には
「4%ルール」という
資産活用法がありました。

定年退職後
株60%+国債40%の資産があれば
毎年4%ずつ引き出していっても
死ぬまでに全部を
使いきることはない
とする考え方です。


具体的に言えば、
年間支出の25倍の資産を築けば、
年利4%の運用益で生活費を
まかなえるという考え方です。
年間支出が仮に250万円なら、
6,250万円の資産を築いて
年利4%で運用すれば、
理論上は資産を維持したまま
生活できるというわけです。

これが考えられた頃は
株価が上昇を続け
国債の金利も4%以上あったから
成り立っていたルールでした。

ところが2000年代に入ると
ドットコム(IT)バブルの崩壊に
リーマンショックも重なって
年によって株価は大きく下落。

国債の金利も4%を割り込み
2008年以降には完全に
ルールが通用しなくなりました。

2013年のWSJに掲載された
「4%ルールにさよなら」
という記事では
仮に2000年1月に退職して
このルールに従った場合
2010年までに資産は3分の2に減り
死ぬ前に全部使い切ってしまう確率が
71%もあると試算されました。


4%という数字も今では
少し意味合いが変わり
米S&P株の成長率7%から、
アメリカのインフレ率3%を
差し引いたものになります。
(s&p500インデックスの成長が大体7%程度)

日本のインフレ率は、
目標を2%と設定しながらも、
思うように上昇せず1%に
満たない状況が続いています。
つまり「4%ルール」を
日本版に置き換えるなら、
アメリカほどインフレ率を
考慮する必要がないため、
「5%ルール」もしくは
「6%ルール」とすることもできます。

順調に資産が増える時代ならいいものの、
もし早い段階で何度も暴落に遭えば
回復に相当時間がかかり
老後の生活費が心もとなくなります。

年老いて一文無しになるなんて
悪夢ですよね。
退職後の最初の数年で
暴落に遭うか遭わないか
どれだけの利回りが得られるか
何%資産を減らすかによって
その後の資産推移は
大きく変わります。


これを「利回りの順序」リスク
と呼びます。


最近はこれに加え
「長生きリスク」
などという嫌な言葉も
耳にするようになりましたね。

人は、定年退職を迎える年も
ちょうどよく死ぬタイミングも
好きに選ぶことができません。

だからといって
時代や社会を嘆いても
仕方ありません。

できるだけ早くに投資を始め
暴落と長生きに耐えうる資産を
築いていきましょう(^ ^)

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