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日本にはない…WWDC23で発表されたAppleのサービスアップデートから見る米国との違い

先日のWWDC23では、長らくウワサばかりが先行していたMRデバイス「Vision Pro」が発表され、その後の報道がこれ一色になりましたね。他の発表内容が霞む……笑。一応、iOSのアップデート内容も気にしてあげてください。

WWDCや発表会では、米Appleのニュースルームを見に行くとApple Japanのニュースルームにないプレスリリースが出ていたりするんです。今回もいくつかありました。こちら↓もその一つです。

日本に上陸していないサービスいろいろ

日頃特に意識することはありませんが、こういう時に「これ日本でリリースされてないな」「この機能は日本では使えなさそうだな」という項目が結構あります。上記のリリースでいうと、このへんですかね。

  1. EV充電ステーションの場所と使用状況を「マップ」上からリアルタイムでチェック

  2. 「マップ」に国立公園などのトレイルコースを掲載

  3. Fitness+の「カスタムプラン」や「スタック機能」追加

  4. Apple News+にクロスワードを掲載

  5. Apple News+の主要新聞・雑誌の音声コンテンツをPodcastで配信

  6. Bloomberg、The Wall Street JournalなどのサブスクをPodcastと連携

  7. Apple Cashのオートチャージ

  8. 企業が年齢確認や本人認証のためのIDをWalletで発行

それぞれ少し深掘りしてみます。

1)EV充電ステーションの場所と使用状況を「マップ」上からリアルタイムでチェック

世界的にEV(電気自動車)の普及は加速していて、EUでは先日完全EV化の目標が撤回されたりしていましたが、米国では2022年の新車販売台数に占めるEV+燃料電池車の割合が6.7%と、日本の1.71%より全然多いんですね。特にカリフォルニア州は、全米のEV登録台数のうち3割を占めるほどEV比率が高いらしいです。

それは充電ステーションマップの需要も高くなるというもの。必要はアップデートの母なり、ですね。”リアルタイム”がどの程度の精度なのか、またあらゆるEVステーションのベンダーによって対応非対応があるのかは気になるところ。日本でもEV普及が進んだら対応するようになるのでしょうか。

充電ステーションの位置とリアルタイム使用状況をマップに追加

2)「マップ」に国立公園などのトレイルコースを掲載

ウォークアラウンド(ストリートビュー)とか3D表示とか、マップの機能は米国先行で導入されたものが後からわりと日本にも導入されてきている印象です。トレイルコースなんかはしっかりした英語版のガイドがあると観光客にも喜ばれそうですよね。まずは富士山とか人気の高尾山とかから。

ていうか日本語版に欲しいですよね。大山や筑波山あたりに登ってみたいです。

3)Fitness+の「カスタムプラン」や「スタック機能」追加

なかなか日本で始まらないサービスのひとつ、Fitness+ 。動画でプロのトレーナーによるワークアウトレッスンを受けられるプログラムです。もし始まったとして使うか?と言われたら微妙なんですが、Apple Oneのサブスクを使っている身としては微妙にソンした気分になってます。

YouTubeとかにこういうコンテンツはいくらでもあるわけですが、曜日・時間指定でセットしたワークアウトを実施できたり、複数のワークアウトを組み合わせて自分用のプログラムを作ったり、BGMとトレーナーの声の音量バランスを変えられたり、かなり細かいところまでアップデートが及んでいます。すごいドッグフィーディングされてる感じがします。

前回(Apple Watch発表時)の“One more thing…”から9年弱。現在62歳でいらっしゃいます。最近お見かけしないEddyさんもだいぶ変化していらした記憶が…

日本でやろうと思ったら、まず日本語版コンテンツ制作がハードルですかね。あとは床・壁の薄い賃貸でもできるプログラム、とか……。むしろ、上陸しなくていいのでその分Apple Oneを安くしてほしいです。

4・5・6)Apple News+にクロスワードを掲載/Apple News+の主要新聞・雑誌の音声コンテンツをPodcastで配信

Apple News+ も長いこと日本に来ない系ですね。もう来ないのかも。でもなぜかウィジェットだけはあって国内大手新聞社などのニュースが入ってくるのが面白いです。どういう位置付けなんだろう。

新機能で「クロスワード」っていいですね。新聞らしさがあります。実家がデンマークから雑貨を輸入する仕事をしてるんですけど、梱包に使われた新聞紙の片付けを手伝っていたら、クロスワードのコーナーには大体書き込みがありました笑。

Podcastは、日本にも来そうな機能を含めてだいぶアップデートがありそうです。News+ に配信している大手メディアが自前のニュースを音声配信するというのは、結構需要があるんじゃないでしょうか。ニュースと音声メディアは相性が良さそうです。

ちなみにPodcast本体の方のアップデートを見ると、エピソードごとにアートワークを設定できたり、コントロールパネルが強化されたり、Apple Musicのステーションを聴けるようになったりするみたいです。他のアプリのサブスクとも連携可能とあったので、News+以外ともコンテンツの連携ができるようになるのかも。しかしPodcastにサブスク機能が追加されましたけど、有料版で成果出ているところってあるんでしょうかね……。もしかして、ないからこうなった?

音声コンテンツ、マネタイズの道は遠いのかも

7)Apple Cashのオートチャージ

Apple Cash! これも日本に来ていないサービスです。というか現在も使えるのは米国のみのようです。iPhone上で個人間送金ができたら便利ですよね……。プレスリリースでは、子どもへのお小遣いを定期的に送金する的な画面が表示されています。

お小遣い、週に20ドルですか……

そういえばApple Cardも発表以来日本での動きは見られません。金融系は国ごとに法や規制の違いが大きいのでしょうね。先日ニュースになったApple Card利用者向けのすごい金利の預金とかは、日本ではない話だと思っておきましょう。

8)事業者が年齢確認や本人認証のためのIDをWalletで発行

米国ではWalletに社員証とか各種会員カードとか、州によっては免許証なんかを追加可能です。今回追加されたのは、店舗でお酒を購入する時の年齢証明とか、コンサートやイベントのチケットの本人認証などの用途で事業者が独自のIDを発行できるというもの。その場でFace ID/Touch IDの認証をすれば、偽造・貸与・転売防止になるというわけですね。

年齢確認やID認証を事業者が個別に発行・利用。もしかして日本はマイナカードでこれやろうとしてます?

お役所はともかく、Walletはもっといろいろなサービスで活用されていいと思います。ポイントカードとか、レジ前でアプリを探して表示するのめんどくさくないですか? Walletにまとめて入っていればラクなんじゃないかなと。最近、「○○ポイントと△△ポイントの両方貯まる」みたいな店もあって、レジのオペレーションも大変だな〜と思います。


改めてまとめてみると、米国と日本国内ではサービス内容が結構違うものですね。そういえば昨年発表された衛星通信のSOSメッセージもそうでしたし、5G通信はハードウェアから違っていますし。誕生した時は世界共通だったハードやサービス基盤が、サービスの高度化につれて細分化していくことになるのでしょうか。


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