コントラバスの五弦問題。


今をときめくアレンジャーの皆様、特に若い方々に申し上げたいことがあります。コントラバスの最低音はEです。Eより下が欲しい場合は事前にご連絡下さい。五弦のコントラバスというのがありますので、最低音はHになります。「じゃあ最初から五弦持って来いよ」と思われるかもしれませんが、五弦はデフォルトではなくオプショナルなものなのです。一番の理由は、我々が持ってる中で、全力でおすすめできる楽器は四弦だからです。

Eより下をちゃんと鳴らすには四弦のものより大きなボディが必要です。簡単に言えば四弦より弾きにくいわけです。また絶対数が少ないこともありますが、所謂名器は全て四弦です。

常設のオーケストラでは四弦五弦混在してますので、書けば大抵鳴ります。フリーランスのスタジオ仕事やるような奏者は昔より五弦の所有率は上がってます。が、比べてみれば100%四弦の方がいい楽器ですので、何も言われなければ基本的には四弦を持っていきます。そうすると折角書いてくださったフレーズを変更しなければなりません。

ちなみに我々のギャランティの中に「楽器使用料」というのがあり、コントラバスの料金が決まっているのですが、更に業界ルールとして「五弦料金」というのがあります。なので、Eより下を書いて、「五弦でお願い」と言うと、作家さん側としては経費が余計にかかるわけです。そんな中、私世代が頼まれないのに勝手に五弦を持って行くことが業界標準になると、先輩方が獲得したこの「五弦料金」が有耶無耶になってしまう。インペク屋さんから頼まれてないのに、書いてあるEより下を弾くことは本来(ある筋の先輩から)禁じられてるんです。

でもそんなの嫌じゃないですか、五弦持ってくれば弾けたのに、スコア的には五弦の音域が求められてるのに、そんな理由でオクターブあげるの、かなりモヤモヤします。

「Eより下を書くな」とは言ってません。
「五弦料金が欲しい!」という趣旨でもありません。
「Eより下があるなら事前に言ってくれ」
という事です。

「事前に言われてない場合コントラバスは四弦でいくけど、それでEより下が出ないからってこちらを悪者にするな。」
というのが実は一番言いたい事です。

そして五弦指定されたら、オプション料金かかりますよ。というのも、諸先輩の手前付け加えておきます。

局地的なメッセージですが、多くのアレンジャーの方に届く事を祈っております。

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