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万引きGメン‼️捕捉履歴4件目‼️


万引きGメン‼️
補足履歴4件目‼️

2019年04月19日 金曜日

某スーパー八剱店

捕捉時刻 19時02分

年齢56歳 男性 捕捉

うなぎ蒲焼等2点

被害金額2092円

持参のマイバック内に隠匿。


 地方都市の片田舎にある某スーパー。激安店として、とても人気のある店舗だ。300円弁当や10円コロッケ。惣菜や菓子類も激安価格で販売されている。

 客層は高齢者が多いが、財布に優しい優良店舗と言える。

 店舗営業時間は、朝9時開店21時閉店営業終了となっているが、Gメンとしての勤務時間は、11時から20時まで。この中で自由に1時間、休憩休息を取ることができる。

 この休憩休息。1時間で済むことはなく、二日酔いで勤務時間のほとんどを、車の中で寝ていたこともあるが、その話はまた、今度のお話にして。。。

 今日も何事もなく、平穏に1日が終わるなぁ。。と、気を抜いて店内を巡回中。

 挙動がおかしく落ち着かず、目線をキョロキョロさせている、50代後半の作業員風男性を発見。肩からマイバックをかけている。

 誰かを探してるのか?

 ちょっと違う。。。

 その行動に違和感を覚え、追尾開始。

 あと1時間で帰れるのに、今から捕捉なんて、やだなぁ。。。

 と感じながら接近する。

 足早に惣菜売り場に直行し、あたりを見回しながら、惣菜を物色する。

 しばらく注視していると、そそくさと惣菜売り場から離れ、加工品売り場前に移動。

 こちらも間を詰めずに、距離をとりながら追尾。注視。

 商品ケースからハムのパックを右手で取り、足早に移動していく(棚取り確認!)

 なんだ??怪しいぞ!?

 足早に人気のない通路内に入り込んだため、急接近注視すると、マイバックをかけている左腕と脇腹の間にハムパックを挟み込む。

 これは!ヤル!!

 自分の直感を信じて、通路角の棚に身を隠し、商品と商品の間に隙間を作り、その隙間から注視する。

 不審者は、一度後ろをチラリと振り返り、足早に移動しながら、左脇腹に挟んでいた、ハムのパックを右手で取り出し、そのまま左肩に掛けているマイバックの中に、スルリと放り込んだ。

 (やりやがった!)現認!!時計確認!18時58分!

 何食わぬ顔で万引き犯は足早に移動していく。

このまま退店するのか?

 被害品を捨てられてはいけないので、慎重に追尾する。

 万引き犯は出口には向かわず、さらに店内へ。

 まだやる気だ!

 そう直感するが、実は俺もかなり心臓バクバクで、息が苦しいほどだ。でもここでへこたれてはいけない。気合を入れて追尾する。

 落ち着いて!落ち着いて!俺!

 足早に移動していく万引き犯は、生鮮品売り場に直行。

 今度はうなぎのパックを、先ほどと同じように右手で取り、堂々と持ったまま、また先ほどと同じ通路内へ足早に向かっていく。

 あれもヤル気だ!

 こちらも追尾。先ほどと同じ通路角の棚に身を隠し、商品の隙間から注視する。

 今度は後ろを振り返ることもなく、右手に持ったうなぎパックを、そのまま直接左肩に掛かっている、マイバックの中に突っ込んだ!

(やった!また!!)現認!19時00分!

 万引き犯はそのまま足早に、出口方向へむかっていく。

 逃がさん!ダッシュ!!

 こちらも距離を詰めていく。

 万引き犯が風防室を抜け、出入口を過ぎて数メートルのところで追い付き、声をかける。

 「すみません!ちょっといいですか?」

 と言いながら時計を確認。19時02分捕捉時刻だ。

「なんや?」

「いゃ!ちょっと!話聞かせてください!」

「なにがや?」

「お会計。忘れてるものあるでしょ?その袋の中!」

 たじろぐ万引き犯。言葉を無くし黙り込んでいる。

「そもそも何しに来たん?明らかに盗りにに来てるよね?何も買わずにマイバックだけ持ってきて。。」

 何も答えない万引き犯。

「もう、仕方ないから、店長さんに謝ろう。俺も一緒に謝ってあげるから。それで、許してもらおう!」

 と、いつもの言葉をかける。

 うなだれたままの万引き犯は、小さく頷き、俺の目をじっと見てくる。

 事務所まで移動する際には、万引き犯を先に歩かせる。これは鉄則。こちらが前を歩くと、走って逃げようとする者もいるためだ。相手が年配の方でも女性でも、俺は油断はしない。身構えて移動していくため、もし一瞬でも逃げようとする素振りが見えたら、すぐに取り押さえて、投げ飛ばしてでも捕捉する。

 これはやりすぎだと言われることもあるが、気にはしない。逃げられるくらいなら、初めから声をかけない。って思ってる。

 今回の作業員風万引き犯は、大人しく静かに観念して、事務所についてきた。

 事務所内で奥の椅子に座ってもらい、被害品を自らの手で、マイバックから出させる。

 そして氏名、住所、連絡先等を記入してもらい、身分証明書で、その身分を確認する。

 店長を呼び、まずは謝罪をさせた。いつもの流れだ。

 呆れる店長。
「こんなに激安にしてるのに!なんで!盗ったりするの!?うちは少ない利益の中から、従業員に給料払ってるの!こんなことされたら、潰れてしまうわ!」

 と、こんこんと話す。。

 確かに、例えば1000円の商品を万引きされたとする。すると、その1000円のマイナスを補って利益を得るには、同じ1000円の物を10個売らなければ、利益は出てこない。という。

 だからこそ、たかが万引き。では済まされないのだ。店舗にとっては死活問題。おおごとなのだ。

 万引き犯自身はそんなこと考えたりはしない。

 そもそもそんな計算ができるのなら、万引きなんかしない。

今回の万引き犯も、この例に漏れずの男だった。

店長が警察に連絡し、両腕を警察官に抱えられて連行されていく、万引き犯の男の姿が、また、とても小さく見えた。


 俺は万引きGメン。不自由な生活を送っていたGメン。こんな奴に捕捉されたくなけりゃ、俺の前で万引きはするな。

見逃さないから。
 万引きGメンのお話は、まだまだ続きます。

 不定期ですがどんどんアップしていきますので、楽しみによろしくお願いいたします。

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