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なが〜い横断歩道を渡るおばあさん。歩行者用信号機が……

なが〜い横断歩道を渡るおばあさん。歩行者用信号機が点滅を始めて……

片側3車線もある広い道路。交通量も大変多い。

その道路にまたがる横断歩道。

そのながーい横断歩道を、たくさんの荷物を抱えて渡る、おばあさん。

亀のようにゆっくりと進んでいく。

俺も同じ横断歩道を早足で進んでいく。

真ん中あたりを過ぎた時、歩行者用信号機が点滅を始めた。

おばあさんは変わらず、ヨタヨタとゆっくり歩いている。

このままでは危ない。

そう思った俺は、おばあさんに近づき、

「信号変わっちゃうよ!いくよ!」

と声をかけ、持っている荷物をさっと取って持ち、点滅する信号機を睨みつけながら走り出すと

「どろぼーっ!」

って。おばあさん!

信号変わっちゃうって!ドロボーじゃないし。立ち止まってたら危ないし。

道の真ん中で喚き散らしているおばあさん。

他の通行人からの厳しい視線。

そして俺の周りには人だかりができ、数人の男たちの腕が、俺の肩や腰を掴みにくる。

「信号機が変わっちゃうから、おばあさんを助けようとして……」

と言うが、信じそうもない。

歩行者用信号機が、完全に赤になっても悠々と歩く、スローペースなおばあさん。

俺に近づいてきて

「こら!どろぼー!荷物を返せ!」

と、はっきりとした口調で叫び、俺の手から荷物をひったくると、そのままスローで歩いて行った。

俺の肩と腰に伸びた手も、するりと緩み、人混みの中に消えた。

(なんなんだよ!危ないから親切心で荷物持ってあげて、渡ってもらおうと思ったのに!どろぼー!はないだろ!)

確かに俺は人相が悪い。だけど、見てくれだけで、決めつけるなよ!

俺にだって、少しくらい、人に親切にしようと思う心はあるんだから。

ちくしょー!

悔しいけれど、これ、ネタじゃなくてほんとの話。

実体験談です。笑笑笑

おしまい

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