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2019年プロ野球ドラフトを振り返る

 ドラフト会議から一夜明け、適当に各球団のドラフトを見て適当なことを言っていきます。当たるも八卦当たらぬも八卦。

埼玉西武ライオンズ

1位 宮川 哲 東芝 投
2位 浜屋 将太 三菱日立PS横浜 投
3位 松岡 洸希 BC武蔵 投
4位 川野 涼多 九州学院高 内
5位 柘植 世那 ホンダ鈴鹿 捕
6位 井上 広輝 日大三高 投
7位 上間 永遠 四国IL徳島 投
8位 岸 潤一郎 四国IL徳島 外

 まずは西武です。1位で佐々木を外すも外れ1位で東芝の宮川を引き当てました。先発リリーフどちらもいけますが、先発ではスタミナ不足と制球のアバウトさが目立ち、リリーフに専念すればカットボールのキレる森唯斗になれると思います。普通の球団ならリリーフにするのでしょうが西武は普通の球団ではないので……。辻監督が「2桁勝てる」と言っていたので当面は先発として育てるでしょう。2位浜屋も1年目から一軍入りは固いです。

 3位BC武蔵の松岡はサプライズでした。高校は部員14人の弱小野球部で高卒1年目でプロ入りです。本当にこの順位でなければ取れなかったのとは誰もが思ったでしょうがそれを跳ね返す活躍を期待しています。独立リーグから高卒1年目でプロ入りした選手は過去4人いて最上位はドラ3の伊藤翔(西武)でした。独立リーグの選手に夢を与える指名です。

 4位では高卒ショートが4人も指名されました。その中で西武が選んだのは川野。長打力を魔改造すれば面白い存在だと思いますが、売りの守備は上野(日ハム3位)に劣り、まだ特徴が見えてこない選手です。松井稼頭央2世になってほしい。5位の柘植は「機動破壊」健大高崎で甲子園に3度出て主将を務めていたので高校野球ファンにはおなじみ。高校での指名漏れをバネに活躍し、勝者のメンタリティを持っているのでいい選手に化ける可能性があります。6位井上はケガがなければこの順位まで落ちてこなかったでしょう。5年後くらいにリリーフで出てくれば十分ですが、平良のようにいきなり出てくる可能性もあります。

 7位と8位は独立リーグから指名しました。今年のドラフトでは独立リーグから9人指名されましたが本指名の3人はすべて西武です。逆に言うと他の11球団は誰ひとりとして「独立リーグには本指名に値する選手はいない」と判断したことになります。これが一体何を表しているのか。

 8位岸は甲子園の大スター、このドラフトの中で最も知名度が高い選手です。森友哉と岸との対決、そしてその年の優勝投手は髙橋光成、3人が同じチームで再会するとは……! 「明徳史上最高傑作」と言われた才能は、しかし大学で肘を壊して中退。野球への情熱が消え失せてバイト生活をしていたところを四国アイランドリーグに誘われます。俊足を生かして野手として復帰し今年盗塁王を獲得。見事にプロの切符をつかみました。 ただ「投手として甲子園出場」「外野手に転向」「内野も微妙にできる」「四国」といえば……熊代くらい一軍にいられたら十分です。

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 岸潤一郎はTBSの「消えた天才」に出ていましたが、岸より先に番組が消えました(映像の捏造で番組打ち切り)。

福岡ソフトバンクホークス

1位 佐藤 直樹 JR西日本 外
2位 海野 隆司 東海大 捕
3位 津森 宥紀 東北福祉大 投
4位 小林 珠維 東海大札幌高 内
5位 柳町 達 慶大 外

 外れ1位でJR西日本の佐藤に行って失敗だと叩かれていましたが、全体としてはうまくまとめてきました。外野の選手層は厚いようでいて薄いので悪くないと思います。さすがに驚きましたが。プレイヤータイプは「武田健吾」とか「鈴木誠也になりそこねた赤松」とかさんざんな言われようですが、柳田もいつまでセンターを守れるか分かりません。

 3位の津森は2位で指名あるかなと思っていた好投手です。慶應の柳町は六大学でずっと見ているのでよく知っていますが、外野として評価されると思っていたところ、ドラ1で外野を獲ったのでもしかしたら三塁を想定しているかもしれませんね。松田の後釜が急務なので(野村や増田はまだ若い)、早くから一軍で見られそうです。

東北楽天ゴールデンイーグルス

1位 小深田 大翔 大阪ガス 内
2位 黒川 史陽 智弁和歌山高 内
3位 津留崎 大成 慶大 投
4位 武藤 敦貴 都城東高 投
5位 福森 耀真 九州産大 投
6位 滝中 瞭太 ホンダ鈴鹿 投
7位 水上 桂 明石商高 捕

 他の球団はどこも70点くらいの評価なのですが、楽天はちょっと……。小深田1位を擁護している声はほとんど見当たりません。守備走塁は堅実でしょうが長打が期待できず、当面二遊間のレギュラーはいて大卒社会人を今すぐ取る理由が見当たりません。あえて擁護するとすれば今年のドラフトでプロでもショートを確実に守れると言える選手は皆無でした。社会人ショートの目玉が倉本(DeNA)と遠藤(中日)だった年を思い出します。阪神が2位で指名する予定だったらしいので欲しければ1位しかありませんでした。

 2位の黒川は二遊間には残れず三塁にコンバートでしょう。先輩の林(広島)とどちらが活躍するでしょうか。智辯和歌山の監督が元楽天で、三木監督が高校1年のときの3年が黒川のお父さんという微妙な縁があります。3位の津留崎はトミージョン経験者なので不安要素が大。とにかく不安なドラフトです。

千葉ロッテマリーンズ

1位 佐々木 朗希 大船渡高 投
2位 佐藤 都志也 東洋大 捕
3位 高部 瑛斗 国士舘大 外
4位 横山 陸人 専大松戸高 投
5位 福田 光輝 法大 内

 ロッテのドラフトはちょっと怖いです。佐々木を育てきれなかったときのダメージが大きいからです。大谷の年の日ハムのドラフトがもう1人も残っていないように(もちろん大谷1人でお釣りがきましたが)。ただ種市や二木を育てたので大丈夫だと思います。理論派の吉井コーチもいますし。150勝はしてほしいですね。

 3位高部はいい外野手でもっと高い順位もあるかもと注目していましたが、3位でも十分高評価です。国士舘は二部リーグで目立たない存在ですがコツコツとヒットを量産していました。

日本ハムファイターズ

1位 河野 竜生 JFE西日本 投
2位 立野 和明 東海理化 投
3位 上野 響平 京都国際高 内
4位 鈴木 健矢 JX - ENEOS 投
5位 望月 大希 創価大 投
6位 梅林 優貴 広島文化学園大 捕
7位 片岡 奨人 東日本国際大 外

 1位河野は事前予想で西武の外れ1位に想定していた左投手です。2位の立野も外れ1位有力候補で1位級の社会人2枚を両取りしたのは上手です。4位の鈴木はいかにもリリーフタイプの変則サイドスロー。日ハムは毎年社会人投手を取りますが早くから活躍する印象があります。

 3位上野は守備は今年の高卒ショートの中でもピカイチ、打撃を懸念する声もありますがいい線いくんじゃないかと見ています。渡辺諒くらいはやれるでしょう。ただ日ハムは最近高卒野手の打撃育成があんまりうまくいってないんだよなあ(森本龍弥とか浅間とか平沼とか)。素材型を重視しすぎているのでしょうか。

オリックスバファローズ

1位 宮城 大弥 興南高 投
2位 紅林 弘太郎 駿河総合高 内
3位 村西 良太 近大 投
4位 前 佑囲斗 津田学園高 投
5位 勝俣 翔貴 国際武道大 内

 なんとも評価の難しいドラフトです。メンツだけ見たら「おっいいね!」となるのですが、メンツが良すぎて逆になにか見落としているような、そんな不安を感じてしまいます。

 1位宮城は誰もが外れ1位候補に挙げる逸材にもかかわらず、「うちはいいかな…おたくにどうぞ」と牽制しあうような、ちょっと地雷な感じがします(適当なこと言ってすみません)。捕手の量と質の両面の弱さを考えれば外れ外れ1位で東海大の海野か東洋大の佐藤でもよかったのではと思ってしまいます(両方同リーグに2位で取られました)。結局捕手は育成5位の高卒しか取らなかったのでこのままなら補強なしです。

 2位紅林は坂本を彷彿とさせる大型内野手になれるでしょう(三塁コンバートされるかもしれませんが)。プロ志望届を出さないという報道もありましたが来てくれてよかったです。かなり評価している選手です。5位勝俣は高校時代から有名なので言わずもがな。よくこの順位で取れたなと思いました。

 4位の前は山本由伸のように一気に伸びる可能性があります。ストレートの球筋がよく、奪三振率が高く、調子が悪いときも悪いなりに抑えられる、エースの素質を持った投手です。山本由伸も当時九州では梅野(ヤクルト)、浜地(阪神)、太田(社会人に進んで巨人2位)と並んで九州四天王として有名でしたが、甲子園に出なかったのと身長が低いので4位まで落ちてきました。前にも期待しています。

読売ジャイアンツ

1位 堀田 賢慎 青森山田高 投
2位 太田 龍 JR東日本 投
3位 菊田 拡和 常総学院高 外
4位 井上 温大 前橋商高 投
5位 山瀬 慎之助 星稜高 捕
6位 伊藤 海斗 酒田南高 外

 全体的に評価が低いドラフトですが私はそんなに悪いとは思っていません。外れ外れ1位堀田は全国的には無名ですが東北では佐々木に次ぐ存在でスケールが大きいです。4位の井上は私が注目していた投手で、広島6位の玉村とともに今年の高校生左腕ではトップクラスの存在でした。この2人はローテを張れるかは未知数ですがまったくダメということはないでしょう。

 ただそれ以外はなんとも言えません。高卒が6人中5人、2位の太田も高卒社会人で伸びしろに期待したいタイプで、即戦力をほぼ取りませんでした。「常総のバレンティン」のあだ名で知られる3位菊田は6位くらいが妥当かなと思っていました。化ければスラッガーになれるかもしれませんが。

DeNAベイスターズ

1位 森 敬斗 桐蔭学園高 内
2位 坂本 裕哉 立命大 投
3位 伊勢 大夢 明大 投
4位 東妻 純平 智弁和歌山高 捕
5位 田部 隼人 開星高 内
6位 蝦名 達夫 青森大 外
7位 浅田 将汰 有明高 投

 ラミちゃんが「大変なことが起こる」と予告していたように、森の一本釣りという大サプライズを成功させてきました。チーム内部でも森にいくことはほぼ知らなかったようです。敵を騙すにはまず味方から。すでにショートは守れないんじゃないかという声も出ていますが、あの身体能力は上限が見えないのでショートでどこまでいけるか勝負してみてほしいです。仮に外野コンバートなら梶谷ではなく福留レベルまで行けるのではないでしょうか。ツインズのロイス・ルイス(MLB2017年ドラフト全体1位)にたとえている人がいてたしかにと思いました。覚醒すればチームを1人で優勝に導けるようなそんな期待すらしてしまいます。顔もいいし人気が出るでしょう。

 2位坂本と3位伊勢はちょっと怖いです。特に伊勢は六大学で見ていますが育成すらありえるんじゃないかと思っていました。明大の同い年コンビと言えば1位柳(中日)と2位星(ヤクルト)の年がありましたが、伊勢は森下とはレベルが違います。ただ1位東2位神里のドラフトでさんざんネガっていたら2人とも成功だったことがあり、DeNAに関しては自分の見立てはまったくあてになりません。

 4位東妻はリーダーシップがあってソリッドなのでレギュラークラスまで到達するでしょう。高城を超えられるか。6位蝦名は西武が早くから目をつけていた東北産の身体能力型の外野手ですが取られてしまいました。7位浅田は身体つきがしっかりしており、DeNAは高卒下位投手を最近うまくモノにしているので期待が高まります。

阪神タイガース

1位 西 純矢 創志学園高 投
2位 井上 広大 履正社高 外
3位 及川 雅貴 横浜高 投
4位 遠藤 成 東海大相模高 内
5位 藤田 健斗 中京学院大中京高 捕
6位 小川 一平 東海大学九州キャンパス 投

 阪神ほど評価が極端に分かれているドラフトもないでしょう。1位から5位まで高校生、しかも全員知名度が高い「超ミーハードラフト」です。これは大成功か大失敗かしかありません。どちらに転ぶでしょうか。

 1位西は確実にエースになる素材です。ストレート、変化球、マウンドさばき、何もかもが素晴らしい。逆に西がエースになれなかったら野球界の損失です。外れ1位で競合しなかったのが奇跡なくらいです。

 2位井上はこの順位で取るのはさすがに厳しいです。甲子園決勝でホームランを打たなかったら5位くらいだったでしょう。しかしそのホームランで一気に誰もが知る存在になりました。ミーハードラフトと言われる所以です。3位及川も「高校ビッグ4」と言われて高校野球ファンは全員知っている存在ですが評価は右肩下がり。4位遠藤も甲子園で投手とショートを兼任して注目を集めましたが、ソリッドではあるけどシーリングに欠けるタイプだと思います。唯一の大卒である6位の小川は事前指名予想で入れようか迷ったくらい良い投手だと評価しています。

広島カープ

1位 森下 暢仁 明大
2位 宇草 孔基 法大
3位 鈴木 寛人 霞ヶ浦高 投
4位 韮沢 雄也 花咲徳栄高 内
5位 石原 貴規 天理大 捕
6位 玉村 昇悟 丹生高 投

 とても自分好みのドラフトです。ビッグ3の一角と言われていた森下を一本釣りした時点で勝ち組感が漂っていましたが、3位で私が高く評価している鈴木を取りました。うらやましい! 甲子園でノックアウトされたとはいえ評価はそんなに落ちていませんでしたね。花咲徳栄の4位韮澤も地元西武に指名してほしかった内野手です。6位玉村もいい投手です。

 ソフトバンクの外れ1位で佐藤を奪われて2位指名予定だった広島は思いっきり焦っており、法政の宇草を2位で指名してしまいました。もうちょっといい選手いたんじゃないのと思ってしまいますが。全体的にはかなりいいドラフトになったと思います。

中日ドラゴンズ

1位 石川 昂弥 東邦高 内
2位 橋本 侑樹 大阪商大 投
3位 岡野 祐一郎 東芝 投
4位 郡司 裕也 慶大 捕
5位 岡林 勇希 菰野高 投
6位 竹内 龍臣 札幌創成高 投

 自分だけがやたらネガティブになっているドラフトです。1位石川は文句なしの指名ですが、2位の大商大の橋本、3位の東芝の岡野はあまり評価していなかったので、ちょっとどうなるか自信がありません。そう思っていた去年2位の梅津は活躍したので見当違いになればいいですが。

 5位の岡林はいい投手になると思います。お兄さんが今年広島から戦力外通告を受けたのでプロは怖いところだと怯えているようです。育成1位で地元名古屋大学の松田を取ったのも見逃せません(事前に西武が取ると言われていたのは何だったんだ)。中日の地元重視は結構好きです(5位藤嶋とか)。

ヤクルトスワローズ

1位 奥川 恭伸 星稜高 投
2位 吉田 大喜 日体大 投
3位 杉山 晃基 創価大 投
4位 大西 広樹 大阪商大 投
5位 長岡 秀樹 八千代松陰高 内
6位 武岡 龍世 八戸学院光星高 内

 ほとんどの媒体がヤクルトに最高評価をつけていました。奥川を引き当て、全体13位で日体大の吉田を取り、3位で外れ1位の評価もあった創価大の杉山を取る。この3枚取りは完璧と言っていいでしょう。吉田も杉山も好きなタイプの投手です。奥川はケガがなければ1年目の夏に一軍で先発していそうです。

 さらに5位6位で高卒ショートを2枚重ねてきました。武岡は甲子園に出て坂本2世と騒がれた一方長岡は地味な存在でした。ドラフトではこの2人の評価が入れ替わりましたがプロに入ったら横一線です。山田、村上、廣岡と高卒内野手の育成に自信を持っていることが伝わってくる指名です。

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