マガジンのカバー画像

フリーライターの本棚

12
フリーランスのライターとして活動する筆者が、読んだ本の感想や読書メモ、おすすめのKindle本セール情報を収めていく「本棚」です。
運営しているクリエイター

2023年5月の記事一覧

「罪なき者のみ石を投げよ」は詭弁?ロジカルシンキングを疑う『論より詭弁』がおもしろい

『論より詭弁』を読んだ。 ロジカルシンキングを扱う本が数多く書店に並んでいる現代においては、否が応でも目に入る尖った書名。なんたってまず、序章のタイトルからして「論理的思考批判」である。「論理なんぞ知ったこっちゃない」と言わんばかりの言葉が並ぶ本書の第一印象は、あまりにも鮮烈だった。 「あまりにもぶっちゃけすぎでは!?」と驚いてしまうものの、だからといって「論理」を完全に蔑ろにしているわけではない。それどころか、筆者自身は論理的思考の研究と教育に携わってきた立場にある。

教養を身につけるには「本」「人」「旅」の3要素が必要?『人生を面白くする 本物の教養』

出口治明さんの『人生を面白くする 本物の教養』を読みました。 ライフネット生命保険株式会社の創業者である出口さんの本を読むのは、これが2冊目。幼い頃から活字中毒だったという筆者の「読書論」を紐解いた『本の「使い方」』に対して、本書のテーマは幅広い意味での「教養」。非常に幅広いトピックを取り上げており、多方面で刺激を得られる1冊でした。 「教養」とは?日常的にもしばしば聞く言葉ではありますが、そもそも「教養」とはなんだろう。試しにいくつかの辞書・サイトで調べてみたところ、次

文章を書けないのは、そもそも「読めない」から?「書き方」以前の「読み方」を学べる本『わかったつもり』

「文章が下手な人は、そもそも文章を読めない」という指摘がある(参考リンク)。 ひとまとまりの長い文章を読む習慣がないから。文脈を読み取る力に欠けているから。読めても自分なりに曲解してしまうから。だから、文章を読むことができない。 他人の文章を「読めない」人が、自分の文章を「読める」はずもない――。 たしかにその指摘には、一理あるように感じる。自分ではいくら「書けた!」と思っても、「読む」ことに慣れていない人は、己の文章の誤りに気がつきにくい。客観的に文章を見直すことがで