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三河宇宙造船所 宇宙への軌跡 第20回「周回軌道に向けて」

1964年東京オリンピック景気で伸びた経済は落ち込みを始め『昭和40年不況』『構造不況』とも呼ばれた1965年の不況を迎える。金融緩和では持ち直せず、日本政府は建設国債の発行。そしてオリンピック後の余剰となった生産建設資源の一部を宇宙開発に。更に残念ながら遠い国の不幸はこの国に求められる需要、所謂「ベトナム戦争特需」を齎し、沈み始めた足元を再び固め始める。
後に『いざなぎ景気』と呼ばれる時代に。
そして、宇宙へ人を送る時代は次のステップへ。

1966年5月2日 月曜
S1 SRB-KD25K キックバック 固体燃料ブースターを搭載した打ち上げ実験は続き、そして安定化し始まる。
宇宙空間に到達した。
「その次だ」と宗弐郎。

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写真:カービン世界新記録管理協会から提示された次のステップ。宇宙船を地球の周りでグルグルしてこい。

軌道上だけに上から目線だね。

ただ宇宙《ソラ》へ打ちげる局面は終わった。
フォン博士からジェバダア宇宙飛行士にナビゲーターの使用方法の説明が行われる。
宇宙軌道上に到達後の軌道操作の説明を受ける。
「いいか、宇宙での円周軌道上で運動エネルギーの変化を行うと、その結果は反対側に強く影響するんだ。楕円軌道運動で発生した変化は地球の向こう側の軌道に影響を与えるんだ。種を撒くと反対側で芽が出る。いいな、向こう側に影響を与えているんだ。向こう側で芽に水を与えると此方側で実を付ける」とフォン博士。
ジェバダアは相槌を打ちながら渥美半島で採れたスイカに齧り付き砕けたスイカ割りのような座学を聴き続ける。
渥美半島のスイカの旬は他産地の収穫時期と被らないように6月に収穫され、市場に出回る。その隙間を縫い計画的に生産されるスイカ、会社敷地近くの農家から早採りされたスイカの余剰分、御裾別けに齧り付きながら科学者の話を聞く。
伸びすぎた蔓のような比喩に塩をぶっかけると博士の言うことはこうだ。
遠点ことAp (Apoapsis)近くで行った軌道変化はその反対側である近点ことPe (Periapsis)に影響を与える。その逆も然り、Pe近くでの軌道変化はそのPe付近より、地球、周回軌道の対象である天体向こう側に影響を与える。円周軌道はその操作、変化が反対側へ作用する。
"Ja Ja"とジェバダアはシャリシャリとした音を立てスイカを頬張る。

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写真:KSPedia 文字にするとめんどいけど図示するとこんなにあっさり。画を文章に変換するって大変。

じゃあ、何時ものロケットパーツ概要。

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写真:6号 長く細くやってます

三河6号
1)S1 SRB-KD25K キックバック 固体燃料ブースターを1基搭載
2)LV-T45 スゥイーベル液体燃料エンジン 1基搭載
3)LV-909 テリア液体燃料エンジン 1基搭載
4)RV-105 RCSスラスターブロック 3基搭載
5)OX-STAT 太陽光パネル 三枚装着

1)~3)について
三段式ロケット。一段目のブースターで打ち上げ二段目の液体燃料エンジン、ジンバル角を使用し姿勢制御。三段目のテリア液体燃料ジンを地球周回軌道制御に使用。
4)について
姿勢制御を円滑に行う目的と宇宙空間での使用実証試験を兼ね。
5)について
発電。エコロジー。

以上

1966年5月14日 土曜 午後2時
三河6号
https://www.youtube.com/watch?v=_wgVorZArrw&feature=youtu.be


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