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VTuberのライブに行ったらステージに人が立っていた話

Xを開くと最近よく目にするあの青いマークをつけた識者たちが論じている「VTuberとはこうあるべきだ」という主張を目にするたびに
僕はそっとミュートをする。

Xに書いてしまうと叩かれそうなので
noteに書いちゃおう。
僕は「アレ」がいっちゃん嫌いだ。

今やVTuberなんて2万以上いるわけでその数だけ個性があるんだ。

難しい漢字やカタカナで
VTuberを括らないでほしい。

僕はVTuberにはもっと自由でいてほしいんだ。


僕はそんな「VTuberとはこうあるべきだ」という主張とは真逆の場所にるVTuberを知っている。



そのVTuberの名前は「奏みみ」

彼女は所謂VTuberのカテゴリーの中で「VSinger」として活動している。

上の画像を見るとよく分かるが、
彼女は初期の「ぽっちゃり猫ちゃん」からこれまで数回に渡り姿を変えている。
彼女ほどデビュー当初から姿が変わったVTuberを僕は知らない。

「奏みみ」というアーティストを知ったのは今から3年前。

僕は福岡でエンタテ!区という番組で月に1度VTuberの企画を担当している。
彼女を紹介したのはVSingerの企画ではなく
「NOT人間VTuber」という人外のVTuberを紹介する企画だ。

その時、彼女はまだぽっちゃり猫ちゃん。
間違いなく「NOT人間VTuber」だ。

当時も今も猫のVTuberなんて街で見かける以上にYouTubeに存在している。
「かわいい」猫はどの分野でもキラーコンテンツだ。

でも彼女は只の可愛い猫ちゃんではない。

そんな猫の姿の彼女を知ったきっかけは今でも鮮明に覚えている。
面白いVTuberがいないかとYouTubeを漁っていた時に
たまたまそのぽっちゃり猫ちゃんのサムネを見つけた。

タイトルに書かれていたのは
【猫が歌う】宇多田ヒカル - First Love - MiMi KANADE COVER
※今は限定公開になっているようです。

【猫が歌う】という文字に唆られてクリックしてみると
とんでもない歌唱力にサブイボが立った。

以前VTuberのファン同士で飲み会をした時に
「歌がうまいVTuber」はたくさんいるけど、
心臓をギュッと掴むVTuberはあまりいないという話で盛り上がったことがある。

その時にその「ギュッと掴む」VTuberで
満場一致で名前が上がったのが「奏みみ」だ。

僕はこのFirst Love のカバーが衝撃すぎて
深夜0時を回っているのにもかかわらず
スタッフに「すごいの見つけたら見て!」と
その動画のリンクを送ってしまった。

次の日には彼女の事務所に出演のオファーを出していた。

番組では勿論First Loveを歌ってもらいたかったが、
普通に歌ってもらうのもアレなので。
「First Loveの歌詞を古文にしたものを歌ってもらう」という
無茶振りをお願いしたのだがそれも見事に歌いこなしていた。
※そもそもどんな企画なんだ。

下記が実際に歌ってもらった歌詞。

果ての接吻
煙草の風味がせり

ニガくて詫びしきにほひ

You are always gonna be my love

いつか誰かとまた恋に落つるとも

I'll remember to love You taught me how
You are always gonna be the one

今は未だわびしき愛歌 新しき歌 うたふべきまで

そこから彼女の歌声にどっぷりハマったのは言わずもがなだ。

そんな「奏みみ」は去年10月になんと「リアルの姿」でも
活動することを発表した。

VTuberで中の人なんて…。というミッキー論を未だに唱える人が多くいる中、
彼女が「人間」の姿を公開することは
正直、予想してなかったので
めちゃくちゃ驚いた。(語彙)

もっと驚いたのがVTuberの「奏みみ」とリアルの「奏みみ」に殆どギャップがなかったことだ。

やはりどうしても見た目が気になってしまうのが本音。
しかし身長・スタイルもほとんど「VTuberの奏みみ」だった。
「画面を飛び越えてやってきた」そんな感覚だ。

前述したVTuberファンの飲み会に奏みみさんのファンが参加していたので僕は
「奏みみさんがリアルの姿を出した時どう思った?」と質問したらそのファンの方も全く同じ意見だった。

やはりVTuberかリアルの姿を出す時はニアリーイコールがマストなんだなと僕は思う。

そんな彼女の「リアルの姿」のみで開催されるライブが去年12月30日に渋谷で開催された。

僕はライブ開始ギリギリに会場に到着し中に入ると既に満席だった。

男性ばかりかなと予想していたが
女性の姿もチラホラあり、中には外国人の姿もあった。

1曲目が始まると奏みみがステージへとやってきた。
VTuberのライブなのにステージには人が立っている。
文字だけだと何を言ってんだ?と思われる。でも人が立っている。

その「人」からは僕が心臓を掴まれた歌声が聴こえている。
いつもバーチャルから聴こえているあの歌声が「人」から聴こえている。
とてつもなく不思議な感覚に陥った。

ライブが始まる前は「どんな顔なんだろう」「素顔は客席から見えるのか」
なんて一抹の期待をしたが彼女の生の歌声を聴くとそんな事はどうでもよくなった。

僕の5m先にはVTuberが人の姿で歌っている。
大袈裟かもしれないが今「VTuberの新たなフェーズ」に立ち会っているんだ。と、とてつもなく高揚した。

僕が気になっていた彼女の顔は絶妙な照明で見えないようになっていた。

ライブで驚いたのはその歌唱力はもちろんなのだがパフォーマンスがキレキレだったことだ。

さらに各曲では彼女のこれまでの姿のシルエットやリリックビデオが次から次へと映し出され
彼女のこれまで進んできたストーリーを表現しているのではないかと勝手に想像するのも面白かった。

でも、何度もいうがこれまでバーチャルの世界にいたVTuberが目の前で歌っている姿が衝撃だった。

この胸の高まりは現地にいた人にしかわからないと思う。

そしてライブの途中にライブタイトルにもなっている新曲「進化論」がお披露目された。

この曲の歌詞は彼女が作詞したそうで「全然ハマらない既存のセオリー」の歌詞が
まさにVTuberの中でオンリーワンを突き進む彼女を表しているように思えた。

ライブの時間はあっという間だった。
福岡から東京にきて良かったと心からそう思えた。

僕は「VTuberはこうあるべきだ」という考えと
真逆を突き進む「奏みみ」というVTuber
いやっ。トランスフォームシンガーを応援していきたいと思う。

彼女が進化する先に見据る「明確な終着点」に辿り着くまで。




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