みんなのデザイン、みんなにデザイン

はじめに

武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論Ⅱ 第3回(2021.4.26)の講師は様々な実験プロジェクトを取り組んでいるプロジェクト・マネージャー森一貴さんです。今回の講演で非常に考えさせることは:

1. 「主客融解のデザイン」

2. 世界の多数のためのデザイン

森一貴について

森一貴さんは東京大学教養学部卒業したあと、コンサルティング会社勤務を経て、「社会に自由と寛容をつくる」をコンセプトに、人々の「できる」という確信(Capability)のデザインに取り組んでおり、「ゆるい移住」、「生き博FUKUI」、「ワークキャリア」、「RENEW」、「ハルキャンパス」など様々な実験プロジェクトを参加・企画しています。

福井のものづくりの祭典「RENEW」
「RENEW」は持続可能な地域づくりを目指し、越前漆器・越前和紙・越前打刃物・越前箪笥・越前焼・眼鏡・繊維の7産地の工房に、見学やワークショップを通じて、技術を体験しながら商品の購入を楽しめる産業観光イベントです。

福井県鯖江市のプロジェクト「ゆるい移住」
「ゆるい移住」は、半年間家賃無料で、まずは無目的、気軽に住んでみて、田舎のまちをゆるく体験し、満喫してもらえることを目指している移住プロジェクトです。

体験移住期間中は、趣味にを駆動させて、新しい活動や仕事を探したり、起業に挑戦したりすることができます。

対話・探求・実践を重視した学習塾「ハルキャンパス」
ハルキャンパスは「ほしい未来を自分でつくる人を育てる」をコンセプトにした探究型学習塾です。具体的には森さんがすでにnoteで記載されているので、興味がある方ぜひ読んでみてください。

みんなにデザイン

森さんはプレゼンテーションの中に、「幸福・自由とはなにか」「幸福な社会はいかに実現可能か」「私たちの役割とはなにか」という3つの質疑に対する答えから「どうやって社会に自由と寛容をつくるか」という課題に方向性を提出しました。簡単に言うと:

「できるという」確信のデザイン

言い換えると、「人々が社会を変えていけるような社会をつくること」。それに対して、くつかの具体的な方向を提案・実践していて、その中「主客融解のデザイン」というコンセプトに興味を持っています。

森さんは「暑いならエアコンの温度が変えられる場をデザインするべきではないだろうか」という例挙げて、一貫して個人の内発的動機をエンパワーして、「提供者」と「受け手」といったような二項対立を崩した「主客融解のデザイン」を説明しました。これはすごく面白くて「参加型デザイン」というコンセプトと重ねっている部分もあるかもしれないです。

プレゼンテーションの最後に、森さんは自分がこれからやりたいことを挙げて、「よわいデザイン」という言葉も出てきました。実は Victor Papanekの著作「Design for the Real World」にも似ている視点を語っています:

世の中のデザインは、主に「社会的少数者」と思われている障害者、第三世界に生活している人を無視して、世の中にわずかの富裕層のためにデザインしてしまっています。

果たして「社会的少数者」は障害者、第三世界に生活している人なのか?

詳しく考えてみてデータからみると、世の中にいる障害者、第三世界に生活している人は「社会的多数者」であるとPapanekが提出した観点です。

例えば中国は急速に発展しているが、「オシャレ」「ハイテクな」というイメージはただ上海、深センから残していて、高度に発展している都市はわずか4つであり、そこに住んでいる人口は1億人しかいなくて、中国の総人口の7%です。

「中国のデザイナーたちは、常に7%の人たちにデザインをしているか」

「お金が稼げるけど、はたしてただその7%にデザインすることはいいのか」

という発見に興味を持ち始めました。

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