見出し画像

歴史のじかん×生き方

人気クイズ番組の準レギュラー的立ち位置にTFMの昼帯パーソナリティーを務める山崎怜奈を初めて知ったのは乃木坂ファンになりたての2013年の秋頃、7枚目シングル「バレッタ」の歌詞カードのメンバー写真だった。ブログでメンバーの似顔絵を鉛筆で描き誰の似顔絵かクイズにしていた頃が懐かしい。以前名古屋CBCラジオで放送されていて「ナガオカスクランブル」のリスナーだった事から気付けば山崎怜奈は推しメンの一人になっていた。山崎を初めて単独で呼んだ番組がナガオカスクランブルで、ゲストで呼ばれて大騒ぎしていたのが今の大活躍ぶりには感慨深いものがある。

しかしその山崎が一つ手にしていないものがある。それは乃木坂の選抜だ。大人数のアイドルグループでは選抜メンバーとして表題曲の音源に自分の声が入り歌番組で歌うことが一つの目標とされている。鉛筆画の頃の山崎怜奈もおそらくその目標に向かって活動していたことだろう。しかし当時の乃木坂は生駒白石橋本などの主力メンバーに加え衛藤もようやく選抜に定着し始めた頃で一期生だけでも層が厚く二期生の山崎がそこに入るのは容易ではなかった。一期生の主力が卒業し始めた頃には後輩の三期生が入ってきて選抜枠は彼女達に振られる事になる。同期が選抜入りする中取り残されて後輩にも抜かれていった頃は表から見えている以上の苦悩があったに違いない。

そんな中で山崎は他のメンバーと違うアイドルとしての生き方を見出した、というより自分の長所や他のメンバーとは違う部分を伸ばしたという方が正しいかもしれない。
歴史好きで勉強家な点がクイズ番組の出演に繋がりヘビーリスナーとしてラジオ界で注目されるようになった。それらが線として繋がり選抜の椅子に頼らない他のメンバーとは違うポジションを確立出来たことで少しづつ自分を認められるようになった結果が山崎怜奈の生き方ではないだろうか?従来選抜メンバーとして活動して仕事を貰う事が一般的な幸せとされてきたきた大人数アイドルの中で山崎怜奈は新たな生き方を示してくれた。初の著書「歴史のじかん」のコラムには歴史上の人物や出来事から現代における様々なテーマについて山崎怜奈の考えが綴られているがその中にはアイドルとしての生き方が色濃く反映されている。

山崎怜奈の生き方は自分にとって非常に支えになるものだ。山崎怜奈は今回のコラムを通して「一般論を全て受け入れる必要はない、自分は自分の人生や生き方を歩めばいい、今あるものを大事にしていこう」と教えてくれている気がする。
アイドル界以外にも世の中には一般的とされることや普通の生き方や幸せというものが存在する。日本人男性であれば学校を出て定職に就き会社のために頑張って出世して恋人や配偶者が居るというのが普通の生き方で幸せとされている。その生き方が出来る人は勿論素晴らしいが、一方でその道を歩んでいけないと周囲から評価されなかったり不安視されてしまう。そこに劣等感を抱いてしまうこともある。

自分はラジオリスナーのアイドルのファンとして少しは名前が知られるようになり十数年独学で続けてきた模型作りでラジオ局から取材して貰えるぐらいにはなった。その世界では評価して下さる方もいるがそれでも世間一般の空気で言うならばちゃんとした恋人も出来ず会社では出世も出来ず悪い意味で普通じゃないというニュアンスの言葉やそれぐらい出来ないのか?という矢が向かってくる事がある。世のため人のため会社のために尽くすのが普通という義務化された空気の呪いが襲い掛かってくる事もある。自分はそれらに人としての自信を削がれつつもその普通をなんとか務めようとなるべく表に出さずに生きてきた。

「歴史のじかん」のコラムを読んだ時、このコラムを書いた山崎怜奈という東京都江戸川区出身23歳の女性の本音が自分がずっと抑え込んできたことと驚くほど同じでこの世に自分の本音を肯定してくれる人が居た事が本当に嬉しかった。普通という呪いから解放してくれたような気がした。
時代によって普通は変わる。コロナ禍はまさにその普通が変わっている瞬間だ。電車や車で会社に通うのが普通だったのが家で仕事をするのが普通になりつつある。そんな不確定な普通というものに振り回される必要はないような気がしてきた。生き方に関しても自分の普通というものを持ちすぎると相手にとっては暴力になる事がある。自分の普通に固執せず相手を尊重することも忘れてはならない。相手の生き方を迷惑をかけたり犯罪でもない限り馬鹿にしたり否定しないことは何よりも大切にしたい。

自分は充実した恋愛も出来なければ目指した世界でプロとしてやっていける実力も無かった。会社で評価されている訳でもない。それでも能力を買ってイベントの司会を任せてくれた人達が居て様々な手段を使い放送部の同期で唯一現役で喋り続けられていることやリスナーとして応援してくれる人がいたり模型作品を見てくれる人がいること、以前勤務した場所の最高の上司や職場の人達、素敵な家族、そしてアイドルのファンになり山崎怜奈著「歴史のじかん」を手に出来たこと。それら自分が得たものを形に捉われず大事にして得られなかったものを悔やむより自分を認められる生き方をしていきたい。

その生き方が大きな実になることを信じて。「歴史のじかん」は多くの人の生き方を救ってくれる本だと思う。

ラジオとアイドルと鉄道模型に特化した人間です。 こちらでは鉄道模型作品の発表、自宅のNゲージタウンの日常や坂道48を中心としたアイドルの話などをしたいと思います。 週一回更新「潤ちゃんのリインカーネーション」