モチベーションという、人類最高の友であり最悪の敵について
つい先日マツリカ黒佐社長がTwitterでつぶやいていた。
https://twitter.com/eiji_kurosa/status/1132560364283895809
「営業担当がその値段で売れると感じるか」
売れると思えないものは売れない、ということだが、
これはまさに何か大切なことを言い当てている気がしてます。
弊社もマツリカさんと同じく、領域は異なるがSaaS提供者の後輩で、
営業成績が向上した(まだまだ課題に溢れているが、)タイミングは明らかに
つぶやきにあるように「思いが強烈な営業」が入った瞬間からだった。
ピータ・ティール曰く
「プロダクトが良くても売れないことはザラにあるが、
営業が強いと売れないものでも売れる」
とのことだが、
「思いがない営業はまったく売れないが、
思いが強い営業は何でも売れる」ということは結構ある気がしている。
■最も「どれだけ強く信じられる」人間は誰なのか
話は変わって。
つい先日参加したマーケ系のセミナー(仕事に追われているときほど参加すると得るものが多い)で
「これまで出会った中でもっとも思いが強かったのは誰でしたか?」というような話題になった。
思いといっても、社会貢献、経済的裕福、家族に対するものなど実に多様な思いが存在するが、
その場で「強い思いの持ち主」として名が挙がっていた方々は「経営者」ばかりだったことが非常に印象的だった。
自分も経営者の端くれとして、右脳部分から発する思いだけは世界一でありたいと思っているが、この思いというものはなかなか厄介なものだ。
■モチベーターが最強
そもそも上で話している「思い」は「やる気」や「モチベーション」の源泉である。
どんなにスキルフルなメンバーがいたとしても、やる気がゼロでまったく動かなければただのお飾りにしかすぎず、
どんなに凶悪で強い悪役がいたとしても、その「やる気」を奪って「世界征服なんてめんどくさい」と思わせれば、ストーリーは前に進まなくなる。
基本的に生物は、自らの自由意思で動いているので、
その源泉である「やる気」がゼロになれば戦争もなくなるし、
一方、人類としての進歩も止まるだろう。
すなわちこの「やる気」を定量的に可視化し、コントロールできる術を持てば世界の支配者になれる。
最強のヒーローは、孫悟空でもラッキーマンでもなく、モチベーターである。
私が好きな漫画「稲中卓球部」や「シガテラ」の作者古谷実氏は一貫して
「『めんどくささ』は、人間の身近にある、最大の敵」とみなしているが、
会社・個人問わず全ての人類にとって「モチベーション」は大きなテーマだ。
■モチベーションとの付き合い方
上記の例は極端で、さすがにモチベーションを「100 or 0」にするのはなかなか無理があるが、
どんなモチベーションにも同じような共通点がある。
「上がりにくいが、下がるのは一瞬」ということ。
まさに「信頼」と同じだが、何かのきっかけでモチベーションは瞬時に奪われる。
恥ずかしながら、これまで一緒に働いてきたメンバーの
モチベーションを上げるどころか、下げることのほうが圧倒的に多かった。
他の経営者ともこのような話をしてみたいところだが、
経営の最大のテーマの1つは、この「モチベーション低下」なんじゃないかと思う。
自分の仕事を誰かにお願いするとき、大体の場合、
「やってもらう人」は「お願いする人」よりモチベーションが低いことが多く、
その落差がアウトプットに差を生み出す可能性は高い。
そして、その積み重なりが取り返しのつかない事態をたまに引き起こす。
つまり、「上げるより下がらない」ために何をすべきかを考える方が王道的だ。
「きっちり時間通りに終わるよう取り組んで早く帰った社員」よりも
「時間配分も何も考えず、非効率に仕事して残業代を請求する社員」の方が給与があがることはよくあるが、
嫌でも前者のモチベーションは低下するので、こういった仕組みが社内に存在しないか
1つ1つ見直すのは非常に有用でレバレッジが効くと思う。
人間は万能ではないので、すべからく制度や働き方をフェアにするのは無理だが、
アンフェアを取り除くことはできる。と信じている。
※と思って仕事をしているが私もまだ全然道半ば。。
■「未来」と「希望」をセットにする
最初の「思い」の話に戻るが、こういった仕組みがある前提で
モチベーションの源泉となり、その低下を防ぐのはやっぱり「思い」だと感じている。
経営者やボス、上司やリーダーがこの「思い」を周囲と相対評価した際に異様に高いレベルを維持すると
周囲のモチベーションは落ちづらくなる。
ただ、それだけでは「継続しない一過性」のものなので、
上記のような仕組み・制度の改善は常にまわしていく必要がある。
その一環として、まだまだ実践し始めたばかりだが、最近意識的に取り組んでいることが
「対面で社員・インターン・業務委託問わずチームの構成員全てと直接対話をし、その人たちの夢や希望がどのようにしたら実現できるのかを一緒に考えてあげること」だ。
聞いても答えがすぐ出ない場合もあるので、「5年後どうしていたら満足していると思う?」なんて
聞くと答えやすくなることもある。
「自分のことを分かってくれている」という安心や信頼が組織に生まれるといいなと思ってスタートしたが、
やってみて、これは「希望」が生まれるかもしれないと思った。
TOP層が示すビジョンという「未来」と各従業員がそれぞれ持っている「希望」がセットになることで、
継続的に「思い」と「モチベーション」が生まれる可能性を感じている。
■「やりたくないこと」といったやる気を逆方向にするものを味方にする
もう1つ、これはまだ実践できていないがやってみたいと思うものが、
「やりたくないことをどうやりたいものにするか?」といったこと。
トイレ掃除やゴミ捨ても、「誰かがやって当たり前」と思う人はいるが、
やってる当の本人からすると、ふざけるなと思うものだ。
「誰もやりたくない仕事」を率先してやりたい人もいるが、
ほとんどの人がやりたくないと思ってやっている。
「やりたいこと」をやっていれば、モチベーションなんか気にしなくてよい、というのは組織の上にいるか、個人志向で「ゴミ捨て」といったやりたくないことを自分でしておらず、周りに任せきりにしている例が多い。
実際はわからないが、経営の神様である松下幸之助氏が
率先してトイレ掃除をやっていたのは実はこういったことを理解して、
「やりたくないことを他人に押し付けることがベースとなっている組織は成長しない」ということを伝えたかったんじゃないかと勝手に解釈している。
見えにくい「やりたくないこと」を可視化して、「実践している人」をきちんと透明性高く、みんながわかるかたちで評価する。
このあたりは自分もまだまだだが、
少しずつ改善していきたいと思っているし、
できれば自社は社員と会社が「友達関係」であるような状態をめざしたい。
■余談
①圧倒的なモチベーションが生まれる源泉は「強烈な原体験」かと思っていたが、体験の強烈さは関係ないのかなと最近感じる。
今この人生や仕事を選択している理由を考えたとき、自分の過去と照らし合わせて今の自分と重なる何かを見つけたとき思いの強さが生まれるのかもしれない。思い込みだとしても。
②プロ意識。最近もっとも聞かれなくなった言葉の1つだが、実はモチベーションが低下したときにその人のパフォーマンスを支える大きな砦である。
最近は「越境的」な人材が好まれる風潮にあるが、プロ意識をとある「専門分野」で発揮する人間はいる。
このプロ意識に関しては非常に醸成が難しく、また「楽しく働く」と共存してチームに植え付けられるかは自分でも答えが出ておらず、これから模索していきたい。
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