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場末のディサービス(コンビニ)

在職中 頻繁に場末のディサービス近くのコンビに行っていた
朝は早朝 お昼ご飯用お弁当やパン カップ麺を買っていた
チャージしてカードで買い物をしていたので お金を出さないせいか
割に色んな物をコンビニで買っていた。
利用者さん用に新聞 週刊誌 急ぎの時の調味料など
もちろん仲良くなった店員さんのお勧めのスイーツも買った
「カレーパン 焼きたてです」「肉まん 熱々です」なんて
声をかけられると とまりません・・・・

たまに利用者さんがヘルパーさんが入らないから 好きなお弁を
買いたいと言われて一緒にいったりしてた。

利用者さんが一緒の時は なるべく自分で支払って貰うように
応援してた。

「820円です」

小銭がある時は小銭で支払うよう声かけして お釣りをちゃんと
もらえるかとか 小さい子供の初めてのお使いにドキドキする
お母さんのようだった。
品物を受け取ったら ちゃんと袋の中に入れることができるか
お財布はちゃんと バックの中にしまえるかどうか・・・

ともちゃんは自宅近くのコンビニでおでんをよく買っていた

ともちゃんと私は生活圏がよく似ていて 私がカンファレンスの帰りに
ちょっとランチをと思い こじゃれた店に入ると そこに友ちゃんが先に
いて食べていたり、スーパーに行くと買い物してたり・・・
明るいともちゃんは知り合いが多く あっちこっちで声がかかる
よくおしゃべりしている。笑い声も聞こえてくる

ともちゃんは認知症 後ろ姿でも ともちゃんとわかる
いつも大好きなピンクのカーディガンを着て 髪の毛はポニーテール
話好きで誰にでも声をかけてくれる
送迎車に乗ると 「今日はいい天気ね」と気難しい男性利用者さんに
声をかけてくれる おかげでその男性利用者さんは ともちゃんが
大好き すぐにともちゃんのそばに来て 手を握ってる

「ダメですよ!手を握ったら 子供できちゃいますよ!」 なんて
軽く牽制をかけておく
ともちゃん 可愛いから ピンクの服が多いし 可愛いブローチを
いつもしてる

でも服はずっと同じもの だってディサービスでの入浴は拒否
一人暮らしで ともちゃんは朝ごはんは食べてきたと言ってるけど
家には食べ物はあるけど お湯すら沸かしてない感じがした
とりあえず ディサービスを利用して 食事 水分 安否確認が目標
慣れてきたら入浴を勧めようとしてきた。

足が痒いと訴えがあったので風呂場で足だけ洗おうと声掛けしてみた。
爪水虫 足の爪はすごいことになっていた
毎日足浴 靴下の交換 爪切りをした
そのうち スッタフが足だけ洗うより ついでに髪の毛も洗いましょうと
声掛けして 入浴できるようになった。

ともちゃんの着替えはディサービスで洗濯していた

ともちゃんは妄想もあった
息子さんが新しい下着を自宅に置いておくと 誰かが家に入った
泥棒がきた と町内会の会長さん宅に言いに行くことが増えた

「昨日泥棒が入ってん」
「何か 盗まれたの?」
「いや 下着が置いてあった それで会長さんのところに言いに行った」
「息子さんが持ってきてくれたんちゃう?持っていったら泥棒やけど
 新しい下着やったら 息子さんやわ]

その頃ともちゃんは携帯電話が使えなくなっていた

「白い冬用のコートのボタンが全部ないねん ディサービスで盗まれた」
「ともちゃん ダイヤモンドのボタンやったの?」
「ちゃう 普通の白のボタン」

几帳面なともちゃんがクリーニングに出すときに 全部外したみたい
息子さんに白いコートはともちゃんのわからない所にしまってくださいと
お願いした。

少しずつ 認知症が進行してくる 携帯電話が使えない
送迎車が少し遅れると自宅にいない 病院から電話がかかってくる
受付にいるから 迎えに来て下さいって
迎えに行くと 病院で顔見知りと楽しそうにおしゃべりしている

なんだかんだ言いながら 自宅で独居生活を楽しんでいた
息子さんも以前より よくともちゃんの所に来てくれていた

ともちゃんの独居生活が出来なくなったのは 

コロナに罹ってしまったから

コロナは高齢者の生活を一変したように思った


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