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数学難問に賞金1億2000万円

数学にはノーベル賞がないので、数学者が億万長者になるのは難しい--というのは冗談であるが、数学の難問と言われている「コラッツ予想」を証明したら賞金1億2000万円を出すという企業が現れたそうである。音楽系のウェブサービスを提供する「音圧爆上げくん」という変な名前の東京のベンチャー企業である。
コラッツ予想というのは、1937年にローター・コラッツというドイツの数学者が提示した問題で次のような問題である。
「どんな正の整数も、偶数なら2で割る、奇数なら3倍して1を足す、という操作を繰り返せば、必ず1に到達する」という命題である。
たとえば、3から出発してみよう。3は奇数だから3倍して1を足すと10になる。10は偶数だから2で割ると5になる。5は奇数だから3倍して1を足すと16になる。16は偶数だから2で割ると8になる。8は偶数だから2で割ると4になる。4は偶数だから2で割ると2になる。2は偶数だから2で割ると1になる。という具合にめでたく1に到達した。
どんな正の整数でやってみても、必ずそういう結果になる。それを確かめるのは、時間はかかるとしても、出来ないことではないが、これを一般的に証明せよ、というのが問題である。
このコラッツ予想、2019年にアメリカのテレンス・タオという研究者が証明に肉薄したのだが、最後の難関があって100%の証明にはまだ遠く及ばないそうである。
数学には未解決の有名な難問がいくつもある。フェルマーの最終定理や4色問題が有名である。
もう1つ、1985年に提起されたABC予想という数論の難問(どんな問題かは煩雑なのでWikipediaなどを参照して下さい)もあるが、これは京大の望月新一教授が難解長大な論文で証明したと宣言した。しかし、専門の研究者でもこの論文を理解することは出来ず、目下論争中である。この望月先生、ぼくの友人の談によると、とても面白い人らしい。その望月先生と意気投合した現・東工大教授の加藤文元先生が望月先生の理論を紹介した『宇宙と宇宙をつなぐ数学』という本を出版されている。さっそく電子本で購入してみたが、難しいながらもなかなか面白そうである。この「隠れバー」で紹介できるほど咀嚼出来るかどうか自信はないが、挑戦してみようと思っている。
写真は左がコラッツ予想のローター・コラッツ(Wikipediaによる)、右が加藤氏の著書の表紙である。

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