光速より速い光

という本を今、読んでいます。
光速より速い粒子はタキオンと呼ばれていますが、それは仮想の粒子で、物理学者は誰もじっさいに存在するとは思っていません。タキオンの質量は虚数ですから、そんなものは観測にかからないのです。観測にかからずとも存在する、と言えなくはないのですが、今のところタキオンを仮定しても物理学には何のメリットもないというところでしょうか。
ところで、表題の光速より速い光は、タキオンのことではなく、ビッグバン直後の光の速度は、現在の速度よりはるかに速かったのではないかという仮説です。ポルトガルの物理学者ジョアオ・マゲイジョという人が提唱しているのですが、もし本当にそうだとするとインフレーション宇宙という恐ろしげなものなしに宇宙の進化を説明出来るのだそうです。
昨年末に上梓した『空間は実在するか』は、前著『時間はどこで生まれるのか』の続編ですが、じつは目下、第3弾を構想中です。時間と空間はこの宇宙の枠組みですが、時間と空間を組み合わせると速度(=距離÷時間)という概念が生まれます。そこで、時間論、空間論に続く第3弾として速度論を展開しようという目論みなのです。
この世界でもっとも普遍的な速度は光速cです。ですから、速度論はこの光速cを中心に展開するであろうと思われます。しかし、もしこのcが普遍定数でなく変化したら、というのが表題の光速より速い光なんですね。
『速度論』どんな内容になるか、まだ見当もつきませんが、これから妄想を膨らませながら構想していきたいと思っています。
『光速より速い光』ジョアオ・マゲイジョ著・青木薫訳、NHK出版、2003


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