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ビールの基礎的なセミナー講師をして感じること

ビールのセミナーは日本にもいくつか有ると思いますが私はクラフトビアアソシエーションビアテイスターセミナーと醸造学基礎セミナーの講師をやらせていただいております

多少アドリブを入れたりはしますが私が教育プログラムをつくったわけではなくすでに完成されたプログラムに沿って話をするだけですが・・・

そのセミナー講師として思うことを記しておきます

要約
・ビアスタイルという世界共通言語を学ぼう
・ビアスタイルを知らなければビール文化に参加できない
・基礎知識のない醸造家はちゃんと学ぼう
・学ばない人は基礎知識が無い自覚も持てない

ビアスタイルは世界で通じる共通言語

ビアスタイルとは何か?
醸造家でも勘違いしている方が多いと思いますがビアスタイルはビール文化の共通言語です

よくある勘違いは
「ビアスタイルなんて誰かが決めた枠組みでしょ。私はそんな物には縛られずに自由にビールをつくるんだ。」
「ビアスタイルって審査のために有るんでしょ?私は審査というものに興味がないからビアスタイルなんて関係ない」
という感じにビアスタイルを足かせだと思ってる

これ、大間違いです

音楽のジャンルや本のジャンルで考えると伝わりやすいかと思いますが、音楽を聞こうと思っている人や本を買おうとしている人はストリーミングサービスや本屋でまずジャンルを探しますよね

ビールの場合はこのジャンルに当たるものがビアスタイルです

ノンジャンルな本や音楽も有るとは思いますがビアスタイルにもフリースタイルが存在します

ビアスタイルは足かせではなくビールのジャンルを伝える世界の共通言語です

もう一つの勘違いはビアスタイルはビールの作り方だと思っている人

日本酒の吟醸や純米、大吟醸とか、磨き~割という言葉は作り方を表す言葉であって味を表す言葉ではありません

ビアスタイルは作り方のジャンル分けではなく味のジャンル分けです

最近ビールにColdIPAとかBrutIPAとか書いてあることがありますがこれは作り方+IPAという構成になっています
つまり ~な作り方でIPAをつくりました ってことですね
これ、ビアスタイルの部分であるIPAを省略したらどんなビールなのか全くわかりませんよ
Cold、Brutとだけ書かれたビールどんな味かわかりますか?
分からないですよね。何色のビールかすらわからないです

今度はどちらもIPAとだけ書かれてたらどうですか?
どんな味か伝わりますよね

ビアスタイルは作り方ではなく味を表す共通言語であることがわかってもらえると思います

さて、共通言語と何度も言ってますがビアスタイルはまさに言葉であり世界共通です

ということはビアスタイルを知らなければビール文化における共通言語を持たないと言えます
つまり会話が成り立たないのです

だから造り手、売り手などクラフトビールに関わるすべての人はビアスタイルを知る必要があります

魚を知らない寿司屋、肉の部位がわからない焼肉屋、音楽ジャンルが分けられていないストリーミングサービス
存在価値ありますか?

ビールに関わるすべての方は最低でも20個、理想は30個くらいはビアスタイルという言葉を知っておいて欲しいです

基礎なくして応用なし

時々醸造の原理を科学的に全く理解していない醸造家に出会います

たしかに原料を揃えて手順通りに間違えることなく作業をすればビールは出来てしまいます

ここで”出来てしまう”と書いたのは訳があります

自らの意志で作ったのではなくて言われたとおりにやったら自動的に出来上がったからです

創造ではなく作業です

どんな世界でも創作には基礎知識は不可欠です
基礎なき創作は深みのない薄っぺらなものになります

日本ではアルコール類の自家醸造が認められていないので日本人は醸造の基礎知識を学ぶ場も試す場も圧倒的に限られます

どこかできちんと学ぶ必要があります

かなり見受けられるのがどこかで研修を受けて独立したものの、研修先の指導者が醸造学後の知識が乏しくただ教わった作業をこなしてビールが出来上がってるだけの醸造所です
これは飲めば一発でわかります

醸造の基礎知識がない人に学んだ人は自らが醸造の知識がないことにすら気づけずひたすらビールをつくり続ける
そして自分のところに学びたいという人が来れば同じような境遇の醸造者をまた生み出す・・・

基礎はしっかり学びましょう
そして他の醸造家と積極的に飲み、語り合い知識を深めていきましょう

そして時々基礎を学び直して忘れかけていた基本を思い出しましょう
一度の学習では絶対に記憶に残りません
必ず復習しましょう

美味しいビールを創っていきましょう

つくる人も売る人もビール文化発展のため、ビールでみんなを笑顔と元気にするために最低限の学びは必要ではないでしょうか

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広島県福山市で備後福山ブルーイングカレッジという醸造コンサルや醸造体験、醸造家育成をやっているブルワー小畑が頭の中をつらつらと綴ります …

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