『新凱旋門物語 ラ・グランダルシュ』(北代美和子訳、草思社)の書評が掲載されました
フランスのパリにて夏季オリンピックが開催されているタイミングで、「図書新聞」(No.3651・ 2024年8月10日号)に、ロランス・コセ『新凱旋門物語 ラ・グランダルシュ』(北代美和子訳、草思社)の書評が掲載されました。図書新聞編集部の許可を得て投稿します。https://toshoshimbun.com/
パリのカルーゼル凱旋門とエトワール凱旋門の延長線上に位置する、「新凱旋門」とも呼ばれる建築《ラ・グランダルシュ》。その大型建造物にまつわる建設秘話を、かのアントワーヌ・ド・サン゠テグジュペリを大叔父に持つ作家ロランス・コセが魂を込めて書き上げた渾身の一冊です。
「訳者あとがき」で北代美和子さんも言及されているように、本書で描かれているスプレッケルセンの死は、2014年の国立競技場設計案白紙撤回直後のザハ・ハディドの死を連想させ、この二つの奇妙な共通項にこうした大型建造物のありかたが問われているような気がしました。
同書の帯には、ザハ・ハディド案の新国立競技場が「予定通り」建設された
世界を描いた、第170回芥川賞受賞作品『東京都同情塔』の著者、九段理江さんの「緻密にして壮大。この小説も一つの巨大な《アルシュ》だ」という言葉が掲載されています。まさにこの一文こそが本書を簡潔に言い表していると、読み終えて強く感じ入りました。
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