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クリーピーパスタ2はこんな本!第10夜CRATERS IN HER FACE (仮題:顔の穴)

第10夜
CRATERS IN HER FACE (仮題:顔の穴)
作者:Madame Macabre
〈ストーリー〉
画家でアートコレクターだった祖母が亡くなり、「私」に多くの作品が遺された。その中に一点、どうにも忌まわしい油絵があった。それは若い女性の肖像画で、幼い頃にのぞき見した記憶では、黄色味を帯びた肌に長い黒髪、顔にはぱっくりと暗い穴が開き、そこから血のようなものが滴っているという不気味なものだった。
時を経て、知らぬ間にその絵は祖母によってきれいに塗り直されていたが、その絵からはいまだに何とも言えない禍々しい雰囲気が漂っていた。その絵は元々、祖母がある人物から譲り受けたものだったため、「私」は絵を元の持ち主に返すことを決めた。返却予定日がせまったある晩、その絵が飾ってある部屋のドアが閉まる音がした。恐る恐る見に行くと、その絵から血のような液体があふれ、さらに――。

〈感想〉
末期がんに侵された女性が精神までも病み、絵具に自分の血を混ぜて描いた自画像。持ち主に災いをもたらす「因縁物」は心霊番組でも人気のテーマですね。日本の場合、それを所有していると、怪我をしたり病気になったりと、健康面でのダメージが起きる場合が多いようですが、この「絵」はもっとダイレクトに襲いかかります。

日本の場合、怪異に遭遇すると、とくに襲われなくても見ただけで意識を失うとか、最悪の場合は発狂し、廃人になってしまうバターンがよくありますよね。アメリカの場合、化け物は身体能力が高く、敵意むき出しで襲いかかってきますし、襲われた方も体力があり、乱闘になるか猛ダッシュで逃げるなど、アクションシーンが繰り広げられるパターンが多いようです。

かつて口裂け女が(若い人わかるかな?)100メートルを3秒で走るという噂がまことしやかに流れ、日本中の小学生を絶望させたものですが、本作に登場する化け物も運動神経抜群。恐るべき身のこなしで主人公を追いかけ、厳密にはどこまで追いかけてきたかは不明ですが、主人公は日が昇るまでノンストップで走り続けます。(捕まらなかった主人公の体力もすごい。)アメリカンホラーは、やるかやられるか、お互い体力勝負なのです。

作者は第4夜の『隠し部屋』でもご紹介した、作家、声優、ミュージシャンと3つの顔を持ち、主にYouTubeで活動中のMadame Macabre。同じ作者だけあって、化け物のタイプが似ています。

さて、この『THE CREEPYPASTA COLLECTION volume2』には、こんな感じの“因縁物”系オカルトホラーも収録されています。もし翻訳されたらちょっと読んでみたいな!と思われた方は、ぜひ「いいね」とか「スキ」などリアクションしていただけたら嬉しいです。
(文責:岡田ウェンディ)


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