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クリーピーパスタ2はこんな本!第8夜The Puppeteer (仮題:パペッター(人形遣い))

第8夜
The Puppeteer (仮題:パペッター(人形遣い))
作者:BleedingHeartworks

〈ストーリー〉
大学に通うために一人暮らしを始めた「僕」は、新しい環境になじめず、ひきこもりになっていった。たまには外の空気を吸おうと、アパートの外へ出てみると、奇妙な男が立っていた。灰色の顔に金色の丸い目をした、への字口の男は、薄ら笑いを浮かべて言った。「君はここで一人ぼっちだ。そうだろ?」壊れたラジオのような声。「僕」は慌てて部屋に駆け戻り、勢いよくドアを閉めたが、部屋にいるのは自分だけじゃないことに気づいた。男を中に入れてしまったのだ。男はダンスをしようと誘ってきた。ダンスをしながら、男はある「人形遣い」の話を始めた――。

〈感想〉
クリーピーパスタ界の有名キャラ「パペッター(人形遣い)」が登場するお話です。
「パペッター」は、ファンダムによると「孤独と憂鬱を糧とする、復讐心に燃えた霊」で、元は10代で命を絶った少年が悪霊化したものだそうです。心が弱っている人につきまとい、人形のように操って死へと誘いますが、その性格はとても魅力的で、口がうまく、自己愛が強く、貪欲で残酷という、サイコパスなキャラ。

本作では、初めて一人暮らしをしたものの、周囲から孤立してしまった若者がターゲットです。パペッターは若者の孤独を理解し、手を差し伸べるふりをして死へと誘いますが、なぜかいきなりのダンスシーン! 男性が男性をダンスに誘う? まあなくはないんでしょうけど、唐突過ぎて。しかもパペッターは優しく若者に触れるなど、なんだか怪しいムードに。これってBL展開?
……ここまで書いてふと、この大学生は男性ではなく女性では? と思えてきました。それならパペッターがダンスに誘っても不自然じゃないし(いえ、男性が男性を誘うのも全然ありだとは思いますが)。原文は一人称で書いてあるので、性別がわからないのです。ルームメイトが男性だという記述があったので、本人も男性だろうと思って読んでいましたが、特に仲良くもない男女が同居することもあるんですかね? 食事の代わりに煙草ですます、というワイルドな描写からもやはり男性をイメージしたのですが、女性の線もありうる……。

それはさておき、パペッターにはいろいろな殺し方があるようなのですが、ここで使われているのはダンスをしながら筋肉を抜き取るという方法です。なんだか新しいですね!(自分としては、脂肪を抜き取ってもらいたい、などと余計なことをちらっと考えました。)自分が死につつあると感じた大学生は、薄れゆく意識の中で「もっと早く自分の孤独と向き合えていたら、両親に淋しいと言えていたら……」と後悔するのですが、それがまた痛々しい。
心の隙間にはいろいろ悪いものが入ってくるといいます。くれぐれも気を付けたいものですね。

作者のBleedingHeartworksはパペッター以外にも、多くのモンスターたちに命を吹き込んできた女性アーティストで、クリーピーパスタのコミックスも描いています。画像検索するとアメコミタッチの漫画(漫画っていう言い方、古いんですか?)が多数出てきます。

さて、この『THE CREEPYPASTA COLLECTION volume2』には、こんな感じの“有名キャラが登場する”ホラーも収録されています。もし翻訳されたらちょっと読んでみたいな!と思われた方は、ぜひ「いいね」とか「スキ」などリアクションしていただけたら嬉しいです。
(文責:岡田ウェンディ)


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