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クリーピーパスタ2はこんな本!第12夜TUNNEL 72F (仮題:トンネル72F)

第12夜
TUNNEL 72F (仮題:トンネル72F)
作者:Michael Whitehouse

〈ストーリー〉
オランダのアムステルダム国立美術館の地下に迷路のように伸びる下水道トンネル。建物のメンテナンスチームの主任の男が、地下深く迷路のように続く通路を進み、「トンネル72F」と記されたトンネルの入り口に来た。そのトンネルには「何かがいる」という噂があり、チームのメンバーは誰一人近づこうとしない。仕方なく男が一人で入っていくと、奇妙なことにトンネルの奥に13歳くらいのかわいらしい少女がいた。少女はボロボロに破れた衣服を着て、顔も手も真っ黒に汚れ、怯えている様子だった。男は驚きながらも、少女をなんとか助けたいと声をかける。だが少女は黙って男の背後を指さすばかりだった。

よく見ると、少女の服には黄色い星の形の布がピン留めされている。それは、ナチス政権時代に、ユダヤ人が身に着けるよう強制されたマークだった。男は急に恐怖に襲われ、気がついた時には同僚に助け出されていた。

噂によれば、あのトンネルに入った者は自殺したり、発狂したりしてしまうという。あのトンネルで過去に何が起こったのかを調べるうち、男はある地元の言い伝えにたどり着く。それは、第二次世界大戦下の、ナチス親衛隊の将校とあるユダヤ人家族にまつわる忌まわしい出来事だった――。

〈感想〉
トンネルといえば、日本にも数多くの有名心霊スポットがありますが、ここは建物の地下にある迷路のようなトンネルなので、逃げ場もなく、迷子になったら出て来られそうにないので、一般のトンネルより断然怖いです。
さてこの男、無駄にマッチョなタイプで、常日頃から怖いモノなどないと豪語していました。それでも「ダビデの星のマーク」を見た途端、あまりの恐怖に絶叫します。怖がるポイント、そこ? 普通なら、暗闇の中にたたずむ少女を見た時点で恐怖に襲われると思うのですが……。日本の怪談なら、血まみれの女とか、トンネルを這いずる上半身だけの作業員などが現れて恐怖のピークに至るところなのに、せっかくの怖がらせポイントがもったいないような……。

そして物語はどんどん理不尽な展開に。少女を助けたいと思った心優しき男の身に起きた出来事は、いくらフィクションでもあんまりです。やはりいわくつきの場所には絶対に立ち入ってはいけないというお話でした。

作者は前作『THE CREEPYPASTA COLLECTION』(『【閲覧注意:ネットの怖い話 クリーピーパスタ】』にも登場し、「PERFUME(邦題:香り)という作品を提供しているマイケル・ホワイトハウス。自身のYouTubeチャンネル、「Ghastly Tales」で作品を発信し、Amazon Kindleで「The Horrors of Christmas」などの著書を発表しています。

さて、この『THE CREEPYPASTA COLLECTION volume2』には、こんな感じの“理不尽すぎる”オカルトホラーも収録されています。もし翻訳されたらちょっと読んでみたいな!と思われた方は、ぜひ「いいね」とか「スキ」などリアクションしていただけたら嬉しいです。
(文責:岡田ウェンディ)

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