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たしかに、そんなこともあったわね

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以前、他サイトに書き連ねていました。 そちらが閉鎖されたので、こっそり引っ越し保管しています。 話のネタにならないかとメモった駄文のたぐい。保証します。
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#万年筆

瓶の中の海

 蝶ネクタイをしたブレンダーはたずねてきた。  「名前は…なににしますか?」  ぼくはふるさとの海の名前をつげた。  「響灘(ひびきなだ)でお願いします」  世界にひとつしかない万年筆のインクができあがった。  万年筆のある生活をはじめて、インクにもたくさんの種類があることを知った。  定番である青や黒も淡いものから濃いものまで、さらにセピア、グリーン、黄色、赤系などなど国内外各メーカーがそれぞれ趣向をこらしたさまざまな色のインクを発売していて、ゆうに百は越えてい

脳みそではなく、「手」が考える

 モノがモノを引き寄せる、ってことがあるんですかね?  数年前、46年も前に亡くなった祖父の遺品がぽろりと出てきましてねえ。  それが60年代のモンブランの万年筆だった。当たり前に、中でインクが固着していて使えない。  万年というぐらいだから修理すれば使えるだろうとメーカーに持っていったら、修理代が耳を疑うほどべらぼうに高い。ふざけんな、ドイツ人。  じいちゃんの形見をあきらめるのも悔しかったので、ほうぼうにあたり、ずっと安く修理してくれるとこを見つけました。さすが息の長