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たしかに、そんなこともあったわね

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以前、他サイトに書き連ねていました。 そちらが閉鎖されたので、こっそり引っ越し保管しています。 話のネタにならないかとメモった駄文のたぐい。保証します。
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2022年6月の記事一覧

ぼくはネコは飼ってなんぞいません・後編

 「にゃあ」  と呼ばれて飛び出て、ハタと気づいた。  そうか、外に出していたエサ皿は、母親<1時>だけが食べていたわけではなかったのか。鬼と化した母親とダブらないように、子どもは時間をずらしたわけだ。  やるではないか。  ためしにエサ皿を外ではなく、玄関の内側に置いてみた。  彼女は警戒し眺めていたが、腹が減ってどうしようもないのか、なかに入ってきた。ぼくが目の前で見ているにもかかわらず、しっかり食べ終えると、逃げるように去っていった。  彼女は夜8時にやってきたので

ぼくはネコは飼ってなんぞいません・前編

 最近周りの方から、  「飼ってるんですってねー」  と言われているが、ネコは飼ってなんぞいません。  ヤツ(♂)が、ぼくの部屋に勝手に出入りしているだけです。  便宜上、現在<きゅう(仮名)>とは呼んではいるけれど、他のところでなんと呼ばれているかはわからない。  この茶白ネコとの出会いはひとことでは言い切れず、今の関係もとても微妙で説明しにくい。  しいて言うなら「知り合い」か。  ちょうど1年前の9月のいまごろ。  映画の製作も大詰め、音楽や音を整理す

瓶の中の海

 蝶ネクタイをしたブレンダーはたずねてきた。  「名前は…なににしますか?」  ぼくはふるさとの海の名前をつげた。  「響灘(ひびきなだ)でお願いします」  世界にひとつしかない万年筆のインクができあがった。  万年筆のある生活をはじめて、インクにもたくさんの種類があることを知った。  定番である青や黒も淡いものから濃いものまで、さらにセピア、グリーン、黄色、赤系などなど国内外各メーカーがそれぞれ趣向をこらしたさまざまな色のインクを発売していて、ゆうに百は越えてい

漫才台本『ビバ! 昭和歌謡』

◯イカ太郎&タコ美、登場。   ◯あいさつあって―― イカ「じぶん、カラオケって行く?」 タコ「あたしメチャ得意やで、歌。」 イカ「初めて聞いたで、そんなん」 タコ「南港の歌姫ゆうたら、あたしのことや」 イカ「知らんかったな」 タコ「女は秘密が多いの」 イカ「……こないだな、20代の子たちとカラオケ行ってん」 タコ「誰ッ!? 誰なのッ!?」 イカ「友だちや、ただの」 タコ「ウソ、ウソよ!?」 イカ「まあ、聞けって。でな、驚いたのがその子ら歌いまくったの