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アイドルソングDJ失敗日記(1)

「彼女になりたい!!!」

 「ひろしまえりぽんおじさん」という変な名前で時々DJのようなことをやっています。主にアイドルソングをかけるんです、おじさんが。
 一応、DJとか言ってますが実はDJのことよく分かっていません。DJイベントやクラブに行った経験も少ないですし、夜は眠くなるんです。
 
 それなのになんでDJみたいなことをやってるのか?

 なんでなんでしょうね?と悩んだふりしてとぼけるまでもなく、動機は明確にあるんです。恥ずかしいからいちいち口に出して言いませんけど。それはもう「承認欲求」だけです。
 「こんな曲知ってるんだよ、どう?」「いいでしょ?」といった承認欲求だけで下手くそなまま今日までやっています。承認欲求丸出しでやる日もあれば、それをひた隠しに知らんぷりしながらやる日もありますが、基本は全部それです。最初から分かっていたことです。ああ、恥ずかしいなあ。

 承認欲求がしっかりと成就したのかは未だに分かりませんが、阿呆みたいにずっと(けっこう恥ずかしいくらいしつこく長年やってます)やってきて一つだけ分かったことは「大好きな良い曲ばかり流してもDJは面白くない」ということです。

 おかしいですよね?
 大好きな、それも誰がどう聴いても良い曲を続けて流せば楽しいに決まってるじゃないですか?でも、それが違うんです。最初につまづいたのはそこでした。大好きな曲に一人だけワクワクしてるんですけど何故か空回り。おかしいな?家で聴いてると楽しいんだけどな…。間違いないと思って選曲しただけにどんどんと自信がなくなり、途中で心折れてしまうともうめちゃくちゃになってしまいます。
 なんでそうなのか?じゃあ、どうすればいいのか?
 そのあたりはこれから書いていければなと思っています。需要があるかは分かりませんが、自分で反省するために考えていきたいです。

 
 車中で宮本佳林『ヒトリトイロ』を聴いています。佳林ちゃんのファーストソロアルバムです。5月22日にセカンドアルバム『Spancall』が発売してるのでそっちを聴くべきですが、今日はファーストアルバムの気分でした。新しいアルバムが楽しみすぎると逆にちょっと心の準備が必要だったりしませんか?

 宮本佳林さんは2008年、10歳の時、ハロープロジェクトに憧れて研修生として加入します。周囲の期待を背負いながらも各グループのオーディションにはなかなか合格せず、2013年3月にやっと研修生内ユニットとして結成されたJuice=Juiceのメンバーとして選ばれました。
 以後、グループの中心的存在として活躍し、2020年に卒業し、以後はソロとして活動しています。

 僕が佳林ちゃんを知ったのはJuice結成直前の研修生時代。遅れてきたハロヲタではあったけど、周囲の先輩ヲタたちの佳林ちゃんは可愛い!凄い!という評判は耳にしていました。とは言うものの自分で見るまではそこまで気にならなかったし、評判が良すぎると天邪鬼になるものです。
 スマイレージに帯同してきた広島ライブで初めて本物の佳林ちゃんを見ました。あまりの可愛さにひっくり返りそうになりました。こんな可愛い子がこの世に存在するんだなと真面目に感動したものです。

 ハロプロ研修生の初のオリジナル曲「彼女になりたい!!!」が発表されたのもその頃です。死にそうになるくらい大好きな超名曲ですね。名曲と呼ぶのも申し訳ない、それ以上の曲というか爆弾みたいな曲。イントロが流れようものなら頭の中は空っぽになり、踊りだしたい気持ちを通り越して狂ってしまう、そんな曲です。分かりますか?分かりませんよね。
 可愛さを引きちぎりたくなるような歌詞、人生を棒に振りたくなるような曲調、全てがどうでもよくなってしまうような振り付け。それを幼くてまだ未成熟な研修生がお揃いの研修生衣装でやるんですから。

 アイドルソングを始めて気づいたことに「家で聴いて良い曲」「ライブで聴いて良い曲」「DJでかけて良い曲」が決してイコールでないということ。不思議なんですよね。曲の良し悪しとまた違う。
 「彼女になりたい!!!」はその全てを備えてる曲です。どこで聴いても最高に可愛くておかしくなる。即効性があります。すぐに狂える。
 初めてアイドルソングDJをした時もかけました。今でも全然使ってます。バカのテンションを上げるときに最適。
 CDとしては最初にレコーディングされた時のメンバーの音源しかありません。公式に発売されてるライブDVDを見れば、その時々のメンバーでのパフォーマンスを見ることができます。

 「彼女になりたい!!!」を聴けば、いつでも初めて出会った頃の幼く可愛い佳林ちゃんに会えます。
 もちろん現実の佳林ちゃんは立派な大人になり、あの頃の何倍も魅力を増しています。当時の可愛さもあどけなさも残したまま成長しているのが愛おしいし、佳林ちゃんの凄いところでしょう。
 『ヒトリトイロ』に収録されてる「氷点下」という曲があります。ライブで聴いたとき、泣いているのか、泣いてる演技なのか分からないけど涙ぐむ佳林ちゃんの姿に見てるこちらもボロボロ泣いてしまいました。本当に凄いアイドルです。
 十年経っても「彼女になりたい!!!」を聴いて恥ずかしいくらいに盛り上がってるおじさんを置き去りにして、佳林ちゃんはしっかりと大人になっていました。
 だけど、佳林ちゃんが幼い頃に過剰に発していた可愛さは別の形になり、更に過剰に輝いているのかもしれません。単純に大人っぽくなっただけではないのです。そんな言い訳。
 瞬間瞬間の短い輝きもアイドルなら、長く続けているからこそ輝く魅力もアイドルだなと思うのですよ。初期衝動は持続できるものではないけど、実はいつでも発動できることを知っているから。
 
 50歳を過ぎてもまだアイドルに夢中で、音楽が好きで、DJでアイドルソングをどうやって上手にやろうかと悩んでる。ややこしい承認欲求を抱えたまま大人になったらどうなるかの人体実験はまだ続きます。おじさんの初期衝動はこじらせると身体を壊すますよ。

 ちなみにDJ中のおじさんも時々涙ぐんでいる時がありますが、それは演出でも演技でもなく、本当にパニックになって情けなくて泣いてるだけなのでこっそりと励ましてくれると嬉しいです。


 


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