見出し画像

杖道護身の形7

第9か条(手刀打ち)
敵:長い棒を上段に構えて、打ちかかって来る。
我:傘を持っている場合は、何よりも先ず機先を制して、敵が棒を振りかぶった瞬間、体を深く沈めて敵の前面を左から右後方に抜ける、このとき傘で払い上げるか胸を突く。
素手の場合は、体を半身に構えて、敵が棒を振りかぶった瞬間、左足から飛び込んで左手で敵の左腕を制しつつ右掌底であごを突き上げる。長い凶器を斜めに振りかぶってきた場合は、左足を引き体を開いて、右手刀で敵の左ひじを打ち、さらに踏み込んで顔面を打つ。
補足説明:真っ向上段と八相の構えからの攻撃に対する対処法です。最初の技は逆風と同じ、次の技は袈裟切りに対する基本捌きです。
 
第10か条(当身について)
1手刀の使い方
当身における手刀は、相手の生理的弱点に対して、強力な衝撃を与えることにより相手を昏倒させることにあり、パラパラと思いっきり開いた手掌の小指側の側面を主として使います。空手の突き、蹴り技、ボクシングのストレート・フック等の相手の攻撃を避けるときには、この手刀で力が集中している急所を狙って痛打する。基本第1教の要領で、気を指頭に流して打つと手掌と腕が一体化して、杖が丸太ん棒になったかのような強力な武器になります。指先に力を入れ広げて打ち払いますと、空手のように手を潰す練習を必要とせずに、瓦なら四五枚まで、板も柾目の一寸の厚さまでは簡単に割ることができます。この場合、十分に掌を拡げて、一本一本の指がそれぞれ短杖となったように気を入れていないと役に立ちません。この手刀打ちの要領は武田流合気術では「地を切れ」という秘の打ち方であります。この九州の武田流合気術宗家大庭一翁に入門した力道山が教わった「地を切れ」という手刀技が、後に「空手チョップ」として世界を制圧したのです。力道山の「空手チョップ」の真相はこれだったのです。電電東京合気杖道部では、最近は指先を開かず親指を折り曲げた、空手打ちの形を取り入れていますが、打撃のタイミングの要領は「地を切れ」という秘の打ち方そのものです。(続)
補足説明:手刀は見まねだけでは作れません。適切な指導を受けると誰でも簡単に強力な手刀を作れるようになります。手が刀になるという意味も理解できるハズです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?