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極意秘伝のはなし31

13所作に移る気
諸流派では大概技を専らとしている。当流の柔では、技を放ち、心をもって勝つことを肝要としているので、気を専らとしている。所作と気が抜けてはダメである。所作が良くても気が移らなければ勝つことは出来ない。例えば、敵に掛かるとき、敵の所作を見て身を鞠(きく=丸くかがめ)にして、心を風和(心身一体の動き)にして、その所作に移れば、敵も我の所作に移ることは、陰陽の理の如く定まったことである。こういう状態に持ち込み勝負することを所作に移る気という。技を使うことは大事であるが、ちょっと勘違いすると心気が技にとらわれ、ただの技になってしまう。よく技という、口伝を聞くべきである。
 
14気に移る所作
これは敵に対するとき、所作にかかわらず身を鞠(きく)にして、心気を風和にして、敵に移すべきところは気より移り、敵を我に移すべきところを我に移し、何回変じても心気より移る所作には、少しも緩むところがなければ勝つべきところを逃すことはない。負けるべきところも明らかに見えるので、負けをのがれるがゆえに、気に移る所作は良いけれど、稽古が足りなければ、まず、所作に移る気をよしとして技を用いることから、大切なつながりが外れてしまう。しかも、移るところが少しでも前後してはもう勝てない。自分より上下の芸に対して、常に技を磨き、師にその可否を問うべきである。教えを覚えても、所作にとらわれ、気にとらわれ、抜けてしまうことはよくあることである。よくよく吟味し口伝を聞くべきである。

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