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秘伝・合気道 堀川幸道口述 鶴山晃瑞編 18

合気の術は、武田惣角先生によれば、「斬らず斬られず、殴らず殴られず。」の技法で、気合(柔術)、合気(呼吸法)の副産物として、整筋肉・整骨を中心とした整体精神統一法が生まれた、とのことであります。
前にも触れましたが、武田惣角先生は誰もが驚くほどの予感力をお持ちでした。これは合気呼吸法を鍛錬すれば出来るようになるのだ、と語っておられました。これは素晴らしい能力ですが、予感力を取得することだけが大東流の目的ではありません。例えば、精神統一法だけを学びたければ禅寺に行くとか催眠術を学ぶ方が早道であります。また、斬ることを目的とするならそれ専門の武術を探せばよいし、蹴ったり殴ったりすることを目的とするならキックボクシングでも習った方が効果的であります。合気道の鍛錬は、伝統武技の反復稽古により体で規律を学び、精神統一をなし、護身術をマスターすることにあります。他国の格闘競技を目的とする技術と日本の「やわら」の修得目的は、基本的に異なっているのであります。
武術が人間の格式や位を高めるという考え方は日本でしか通用しないのであります。このことは大東流が会津藩の御殿術として由緒あるところの真理であります。

解説 本連載第10回の解説に「江戸時代末期になると総合武術として剣術や棒術との統合、諸流派のいいとこ取りをした流派の創設など一部集約化の動きも見られました。」と記載しましたが、総合武術としては、大東流以外にも水戸藩「水府流」、盛岡藩「柳生心眼流」、南部藩「諸賞流」が知られています。
さて、大東流は管理者武道として構成されていますから、言わばジェネラリストを育てるため、あらゆること(対応)を学ぶようになっていて、武術的才能がなくても一定程度こなせるのです。才能ある人がその一部を磨けばすごい世界が展開されます、触れ合気がよい例でしょう。広くいろいろなことを稽古していくか、ある技法に特化して極めていくか、いずれの道もありでしょう、何を習いたいかというその方の意志が大事かと思います。

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