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仏教との関係1

鶴山先生は「大東流考」とする大柱のもと、いろいろな論考や講義メモを残していますが、今回は、サブタイトル-仏教との関係-を紹介します。 

日本の伝統古武術の多くは徳川時代に始まっている。また、その特色は皆、神道、仏教の言葉を伝書の中に使っている。例えば、新陰流兵法では柳生宗矩が著した「兵法家伝書」は、臨済宗の沢庵宗彭の助言を受けたとされている。「兵法家伝書」は、進履橋、殺人刀(せつにんとう)、活人剣(かつにんけん)の3部構成であるが、進履橋は別名「新陰流兵法之書」と呼ばれるいわば目録であって、殺人刀と活人剣の項に柳生石舟斎、宗矩と引き継がれた心法について仏教思想の用語を用いつつ解説されている。具体例を一つだけあげると、大機大用(だいきだいゆう)という言葉がある。これは臨済宗で重用される「碧巌録(へきがんろく)」その他の禅書で用いられる用語であるが、これを大将の兵法の理想として比喩的に使っている。活人剣にはより多くの仏教用語が用いられている。

そもそも、流祖上泉伊勢守は自身の兵法観について仏教用語を用いて説明しており、自ら編み出した三学円の太刀に極意の一切を織り込んだ上、その勢法名を碧巌録からとっている。

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