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合気之術の思想背景3

また、将の事として、円陣から命令一下方陣へ変わる、全員伏せの姿勢から一斉に起立する、左右の方向転換、前進後退、分散集合、密集散会などの基本訓練に加え応用変化動作に熟達して初めて実戦に出動すべきなのである。(注:「呉子」には、これに対応する原文は見当たらなかった。)
武候が呉子に質問した、「全軍の前進と停止に、守らなければならない原則のようなものがあるのか。」
呉子は答えて「地形が天の竈(かまど)すなわち深い谷間の入り口や竜の頭すなわち大きな山のふもとは避けるべきです。必ず青竜の旗を左に、白虎の旗を右に、朱雀の旗を前に、玄武の旗を後ろに立て、招搖(北斗七星の7番目の星)の旗を中央にかかげて、その下で将は指揮を行います。いよいよ戦おうとするときは、風がどこから来るか見極め、順風のときは敵を攻め、逆風のときは陣を固めて待機します。」行軍中に止まってはいけない地形を示し、軍の陣形について天の星の位置を真似て説明している。
また、戦争に重大な作用をもたらす機が四つある、第一は士気を奮い起こすもと=気機、第二は地の利を発揮させるもと=地機、第三は敵に事変(内紛)を起こさせるもと=事機、第四は軍の機動力を発揮させるもと=力機、である。これら四機をわきまえて初めて将軍の資格がある、さらにその将軍に仁徳と威勇があって良将というのである。
呉子の主張は、国を治めるには道・義・礼・仁の四徳が必要で、礼と義の教育は軍を治めるに不可欠としている。常勝の方法は、平時の国内政治において養われるべきものである、と説いている。

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