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大東流-武芸流派大事典1

「武芸流派大事典」作家にして日本武術史研究家であった綿谷雪(わたたにきよし)と山田忠史の共編による大事典です。
この中には、大東流の項もあるのですが、昭和44(1969)年に新人物往来社から出版された旧版と昭和53(1978)年に増補大改訂された版では、内容が全く変わっています。旧版の資料は時宗氏からのもので、増補大改訂版は鶴山先生の史料によるものだからです。
増補大改訂版の綿谷氏によるあとがきには、「今回の大改訂新版の刊行は、大坪指方、武藤正雄両氏、東京コピイ社長斎藤安弘氏の御好意によって実現しました。」とあります。こういった関係から鶴山先生は大坪先生に連れられて綿谷氏を訪ね、武道談義に花が咲いたのでした。そもそも綿谷氏は旧版の大東流の項にはいろいろ不満があったらしく、納得していなかったところ、鶴山先生の明解な説明を聞いて溜飲を下げた旨のメモが残っています。今回は旧版、新版それぞれを引用しますので参考にしていただければ、と思います。
なお、同あとがきに「私は武道界の『現状』の全貌を尽くそうとは決して思っていないのです。某々の名前は除くのが至当であり、自分の名を収録すべきであるから是非書入れろ、謝礼として本が出来たら何冊送れというような申込みにも応じられないし、中には弁護士を通じて内容証明郵便を送って来、いざとなれば訴訟をおこす用意があるらしい申入れにも接しましたが、武道の社会も小うるさいところですね。いずれにせよ人名の収録取捨は私一個のよいかげんできめました。」とあります。相当に色々あったであろう事が推測されます。

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