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「兵法百首」から読み解く「新陰流兵法」1

新陰流兵法を学ぶには、勢法の稽古の他、伝書の読解、口伝の分析等ありますが、ここでは道歌からのアプローチを紹介します。
ここでいう道歌とは、新陰流兵法の技法・心法の教訓を五・七・五・七・七の和歌形式にまとめたものです。『兵法百首』『新陰百首』と呼ばれる道歌集として現代に伝わっています。
『兵法百首』の最も古いものは、文禄2(1592)年のもので、石舟斎が上泉伊勢守(流祖)から一国一人の印可相伝を受けてから27年後のものです。この少ない字数で要点を伝えるという和歌の技法は江戸柳生家でも用いられ、宗冬の時代まで『新陰百首』などとして高弟達に伝えられています。
ここで紹介する歌は、筆者が選んだもので、表記も読みやいように変更しています。
 
三学や 九箇天狗太刀 六の太刀 また二十七 截相のこと
補足説明:新陰流兵法の勢法(かた)名称を稽古階梯順に並べたもの。
三学とは、三学円之太刀で流祖が燕飛六箇之太刀から奇妙を抽出して作った勢法、なお斬釘截鉄は神刀流(極意打)の技法から作った勢法。
九箇とは、九箇之太刀で流祖が神刀流・陰流・念流など諸流の形から優れたものを選んでとりまとめた太刀群。
天狗太刀とは、天狗抄で流祖が伝えた燕飛六箇之太刀に付随した勝口を石舟斎がとりまとめて作った勢法。
六の太刀とは、奥義之太刀で石舟斎が九箇之太刀から奇妙を抽出して作った勢法。
二十七 截相のこととは、二十七箇條截相で流祖が神刀流・陰流・念流の中から勝口を抽出したカタログであって勢法ではない。なお、江戸柳生家では二十七箇條截相の急之太刀をもって皆伝伝授の太刀とした。


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