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沢庵和尚33

「放心をもとむ」のこと
心は放(はな)たれることが必要、これを放心をもとむという。
稽古の時は、孟子がいう「求其放心(放たれた心を求める)」とする心持がよい。こころを引き締めておくことが初心者には大事。至極にいたっては、邵康節(しょうこうせつ)のいう「心要放(こころを放つことが必要)」である。こころを引き締めておくことは不自由であるから。
中峰(ちゅうほう)和尚の言葉に、「具放心心(心を放った心を持て)」とある。邵康節の言葉と同じである。放心を求めよ、引きとどめて一所に置くなということである。また、中峰和尚の言葉には「具不退転」といって、修行によってたどり着いた位置から後戻りをしない心を持てとも説いています。

補足説明:兵法家伝書では、殺人刀の最後に「中峰和尚云く、放心心を具せよ」とする項目があり、沢庵和尚の教えを宗矩が兵法の心の働きとして論じています。
ところで、武術を含む諸芸では、何かしらの型があり、その型に自我を抑えてはめ込むことを求められます。本能的な動きを封じ、それまでの自己流の考え方や行動を封じることが初心者にとって必要だからです。その型は鉄で出来ている流派もあれば薄いゴムで出来ている流派もあるでしょう。どちらもそれぞれに突き破ることは難しいことです。沢庵和尚、宗矩の説くレベルに達すること、皆さんの願望でもあるでしょう。

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