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技法真髄2

(承前)古は兵法を狭き畳の上で道によって天地の意気をもって戦闘する呼吸を対照的に錬磨したのである。この場合、適当の距離をとる。これは丁度剣道で言えば水月の理、すなわち敵との距離を水の位とし(当たらぬ場合)それを彼我の体的霊的の距離を中において相対す。敵火をもって攻め来らば水をもって防ぐ、敵を打込ますべく誘ったときは、水が終始自分の肉身を囲んで水と共に動く。すなわち古の城も同じで、堀があって始めて城が成り立つ。城の周囲には敵に攻められぬよう水がある。人体の場合は、敵が打ってくれば水と共に開くから打ち込まれない。(続)
 
補足説明:合気武道の稽古は、形による修練方法を採用しています。先人が実戦と経験に基づいて確立した格闘技術を疑似体験学習して学ぶという方法です。

さて、一般に「攻撃は最大の防御」といわれますが、江戸柳生系の大東流合気柔術では「積極的防御が最大の攻撃」という発想をしています。
基本は「待」で体捌動作に重点を置いているのです。そして、体捌動作を行うには「適当の距離」である間合を体得する必要があります。
「適当の距離」とは物理的なものだけを指していません。体調・気分・置かれた状況といった心理的な距離も間合に含まれます。また、間合は徒手か得物かによっても変化し、相手の体格によっても異なるものです。

ところで、水といえば、先師は武道の極意要訣として、実力・平常心、こだわり・偏り・滞りがない風格を備えた心身になることを「水は方円の器に従う」という、と語っていました。ブルース・リーは「Be Water My Friend」と言っています。

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