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槍と合気道10

その際、凍結された皇武会の財産を承継(払い下げ)するために、寄附行為変更許可願申請書が文部省体育局長あてに提出され、昭和23年2月9日付けで財団法人合気会が合気道を普及する団体として文部省から認可された。
現在知られている植芝合気道は、この公式の手続き(認可)によって誕生したのである。
その「合気道」とはどのようなものか?は申請書の中身を確認するのが確実だ。
この申請書は「財団法人皇武会」の役員でもあった藤田欽哉氏が作成したもので、第1章合気道、第2章合気会、今日までの経過、第3章将来の計画、から構成されている。
この中で、特に寄附行為の変更に必要な認可を受けるべき絶対条件たる“合気道の実体”について説明されている「第3章将来の計画」を取り上げる。藤田氏はこの中で「合気道の将来の計画及び抱負を綜合的に結論す」として次の二つを上げている。

その1
この道は、体術はもちろんのこと、各種の運動競技、農事(農作業のこと)、演劇、舞踏、その他各種の技芸動作全般にわたって、もしこの妙術を体得していれば、その行くところとして可ならざるところはなし、いわゆる動中の静、すなわち活動の中にも、禅の境地が連絡不断に把持せられて、自由自在に、また安全にその能率を高め飛躍を見る、さらに不断の構造は愉悦となって、その濫奥に実進せねばならぬ気力を生むことになりましょう。このような心身一如の現出如意という人間の理想状態を得るためには、まず根本容器である完全な健康体を創造することであります。ここに合気道による心身の鍛錬法があるのであります。

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