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武道と礼儀作法4

(承前)
半座のこと
半座とは、足のつま先を立てて座ることである。例えば、1か条の押さえはこのスタイルで、踵を開いてその間に尻を落とすように座る。本来は袴で足を隠しているので、一見、正座にしか見えないのである。室内の礼儀作法としてはこの半座が必要なのである。例えば、玄関先で客人の応対をする場合、相手は立っている、こちらは座ってあいさつする。このとき、相手が刺客であった場合、正座では対応が遅れる、正座に見える半座で応対し、いざという時に備えるのである。この半座を学ぶのが江戸柳生系合気柔術の座取1か条なのである。
 
畳縁(たたみべり)を踏まないこと
畳のへりを踏まない。これも武道から来たものである。旧家では、娘が他人の家に行った時には、敷居又は畳のへりを踏むなと必ず教えた。畳のへりを踏むことは、そこの主人の頭を踏むことに等しいのだと。これが旧家の躾け教育の中に入っていた。畳のへりを踏むということは、剣で斬られる(斬ることが出来る)間合に入るということだから、攻撃する意図があると思われるからである。幕末から明治期にかけて、武家の娘が商人など庶民と結婚するようになり、武家のしきたりが、だんだん民衆に普及した一例である。(完)


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