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柳生杖-大坪指方先生の手紙から

鶴山晃瑞著「図解コーチ護身杖道」の中に杖の種類という項があり、柳生杖が紹介されています。「本編解説の正確を期すため、江戸柳生の研究家として第一人者である大坪指方先生に柳生杖についてご指導を願ったところ、下記資料のご提供があったので、ここに紹介する。」として、書簡の一部が引用されています。今回は、その書簡(オリジナル)を紹介します。

冠省 雑用続出返事が遅れ失礼
柳生杖の事について、正確な資料を出している暇がなくて不取敢(とりあえず)頭で覚えていることを書きます。
 、俗に柳生三厳考案と講せられるが、それ以前からあったものと考えら
   れる。現在、柳生芳徳寺外二、三ヶ所に保存されている。
 、孟宗竹(もうそうだけ)を三角に削り、太さ1.2cm位に合わせ、中心
   に鋼線を入れて、竹の間に薄い鉄板を通して、外から「藤づる」で巻
   き上げ、後に雁皮(がんぴ=ジンチョウゲ科の落葉低木、和紙の原
   料)のこよりで更に巻きつけてうるしを塗る。長さ4尺前後、上下に
   鉄輪を装着する。
 、江戸時代も下ってからは、麻糸で巻き上げてこよりを幾重にも巻きつ
   けたものもあるが、中身は孟宗・鋼線・鉄板である。適当にしなう調
   子である。
 、手に持つ処に紐を巻き、その色で修行の成否を判別させ、励ましたと
   伝えられる。色はいずれも黒うるし仕上げである。
なお、出版までに解ったことがあれば知らせます。
江戸柳生家では特に杖を重視し、別紙の変形のもの(頭の太い)は、家老松田家のもので、しかし中身は同じ形でも、徳川中期以降のものと思われる。右不取敢報告まで。
昭和56年6月14日 大坪指方(花押)
鶴山晃瑞 かしこ

書簡の別紙


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