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技法真髄16

(承前)素戔嗚尊(すさのおのみこと)の御子みゆき姫尊は尚武の気に富んでいられたので、その下に天下の英雄がたくさん集まった、あまり英雄が集まるので何ごとかなすのではないかと、天兵を差し向けられた、しかし天兵に敵対する気持ちのない尊は城門を開いて将兵を導き入れ歓待これ蓋(けだ)して和合した。真の武道は敵をせん滅するだけでなく、その敵対するところの精神を敵自ら喜んで無くさしめるようになさねばならぬ。
和合のためにするのが真の武道である。地上に現われたものとその精神とが一如となって和合するように日々稽古をなすべし。手首を取りに来たならば、左足を引いて取らんとする手をもって敵を導き一方の手をもって首へ打ち下ろす。中国の教えは倒れて後やむというが倒れてもなおやまず盛んである。初志を貫徹してやまなぬという気持ちでなければならぬ。ことに武術をするものにおいては人は生き通しの理を悟らねばならぬ。日本の武将はみな天地の教えを描き出すもので、例えば無数の槍でとりまかれ、押し進んで来たときといえども、それを一人とみなしてなす。古人の如く後に柱や樹木を小盾にすることは間違っている。
進んで来る敵の心を小盾に、その真っ正面に立って突いてくる槍の真中心に入身転換の法にしたがって、無事にその囲みを破って安全地帯へ出る、かく周囲を全部敵に取り巻かれたときといえども、入身転換の法にしたがって敗れざる姿勢で敵を圧迫しなければならぬ。(写真参照)(続)
 
補足説明:『惟神の武道』の引用では(写真参照)とあります。この技法は八方分身のことですが、技の名称は伏せられ入身転換の妙技としています。また『武道練習』の口絵にも同様の写真がありますが、ことらも技の名称はありません。

『惟神の武道』より


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