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応急処置法19

(承前)
活法施術上の心得
とかく初心者は、失神者(気絶者)又は仮死者を見て、あわてがちとなりやすい。性急な力まかせな施術は、後日、いろいろな傷害が残されることになるので、法形に合った手順を必ず踏むように注意されたい。

失神者でも、平手でほっぺたを軽く叩けば蘇生する程度の浅い場合から、深く仮死の状態に入っている者まで、三態ほどの区別がある。

活法施術上の第一の原則は、施術者の気持ちを落ち着かせることである。施術者は、まず、仮死者を仰向けにさせ、両掌(てのひら)で、仮死者の胸から腹にかけて数回にわたり、静かになでこする。これは必ずやらなければならない。これは仮死者の「気」を起こすことと、施術上の「気」を静める役目をする。

失神者(気絶者)の場合は、どこもしまりがないぐらい身体がグニャリととしており、安易な気持ちで失神者を抱きかかえ、手や足が垂れ下がり、手首やひじ関節を負傷させないよう注意すべきである。誰もいないとき以外は、複数の人で、身体の各部に無理のいかぬように扱う。上半身を起こすだけでも、ゆっくりと、またしっかりと、各人が押さえながら静かに起こす必要がある。

仮死者の場合は、半ば硬直しており、失神者とはいささか異なる状態となる。脊髄の各部が非常にもろくなっており、仮死者の上半身を起こす場合でも、仮死者の背中の下より右手を充分に深く突っ込み、腕の中にしっかり抱きかかえ、左手は仮死者の両股の上から押さえて、腰を折り込むようにして、上体を起こさなくてはならない。仮死者の両手も、その置かれた位置に注意し、蘇生後、手首や指を挫いていたということにならないよう気をつけ、正しい位置になるよう、足を使って直す必要がある。軽く支えていると倒れてしまうので、自分の位置を変える場合も慎重に行動すべきである。そのためには常に数人の手伝いを使用した方がよいと思われる。(以下略)
(『図解コーチ合気道』182~184頁)

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