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武道の極意・秘伝集2

高野佐三郎「一刀流聞書」より
 心持ち直り候えば、体も直るなり、体が直れば太刀も直るなり。
 肩のこり候ものは、足の踏みようを直し候えば、自ずから肩のこり
  直り申し候。
 物見に屈託(執着)いたし候ものは、切先を直し候えば、物見自ずから
  直り申し候。
 扇のその要が大切なり、過ぎても不足にてもならず。それを外さぬ
  ところすなわち要(要点)なり。
 剣術の修行は、始めはほぐし、中たびに苦しめ、末に肚をねるという
  こと教えうるものなり。
 笛も最初の稽古は静かなところを教え、だんだん早きところを教え候。
  静かにゆったりし候ところは、かえって間が難しきものに候。剣術も
  始めはゆったりと、組使わせ候。おそれず滞らず使い候えば、真剣の節
  は間に髪を入れず、誰も鋭く相成り候。
 人は器用不器用これあり候えども、ごつごついたす使い方にても真剣に
  ては、それに勝ちをとり候ところもこれあり候。ただ稽古にては見分け
  悪しく、又教え候もの面倒これあり候えども、真剣の勝ちどころをよく
  教え込み候わばまずよろし。

補足説明:面・籠手・竹刀の打ち合い稽古方式を採用していた中西派一刀流の教えを記録したものです。鶴山先生の引用はその一部です。技術論より心持ちや稽古のあり方に関する項目を選択しています。

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