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武道の極意・秘伝集26

16他に一円流という流派あり。はなはだ感服すべき流名にて、いかなる技も円くという意にて、受けては円く打ち、切り落としては円く突くという心なり。はなはだ面白き意味あり。味わうべし。
補足説明:一円流とは、武芸流派大事典によれば、上泉伊勢守の門人を祖とする新神蔭一円流の末流で、稽古のときに防護面をつけないで行う流派である、とあります。
 
17世に過ちしこと言う人あり。剣術などたしなむは、若き時の事にて、老いては益なし。筋骨屈伸し難く気力弱くして叶い難ければなり、と言う者あり。一理あるに似たりといえども、決して今日修行の目当てにあらず。若き時は筋骨健やかなれば、非常の狼藉に遭うとも、駈け走り自在なれば、これを免かるることも易からん。剣術はすなわち老いて筋骨不自在なる時の助けとする術にあらずや。これは思わざるの過ち少なからず、鍛錬の老功に至って、若きを論ずるは、不熟の術と知るべし。真剣勝負は一刀に限る。何で常の稽古の如く進退を労するや。実戦の経験の無き者の言なるや。しかれば老いの助けの術であり、備えではなきか。
補足説明:日本の古武術家は死ぬ前が一番強いといいます。当然、若い人の方が、筋骨たくましくスピードも反射神経も優れていますから、同じ土俵で真っ向勝負すれば、若い人が勝でしょう。そこを何とかしようと、工夫するのが古武術なのです。
今回で「修行心得」は完結です。

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