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合気柔術は呼吸鍛錬法である

江戸柳生系合気柔術「坤(こん)の巻」の中伝にヨガ技法があります。いわゆる合気道技法(初伝)の先の技法です。常々鶴山先生は、このラインの中伝以降は武術ではない、と語っていました。なお、別のラインである乾の巻の中伝以降には返技などがあり武術としての教訓技法となっています。今回はそのヨガ技法に関する鶴山先生のメモです。

合気柔術は呼吸鍛錬法である。技の一つの動きの都度、息を吐く。大東流の気合は他流と異なっていて独特のものがある。似ているといえば、少林寺操術の気合動作であろうか。
一動作ごとに「ハッ、ハッ」と息を吐く、これは一種の腹圧体操なのである。息を吸うときが「合気」であり、吐くときが「気合(柔術)」ともいえる。この呼吸法は大東流技法を通じて行う老化防止のための健康法なのである。受けは柔軟な関節や筋肉を造り、仕手は心肺機能の強化を図るのである。
久琢磨の合気柔術はヨガの技が入っている。現代病である管理職のストレス解消に効果的である。中伝技法は二人ヨガとも呼ばれるのである。例えば、相手をうつ伏せに制して、背中に馬乗りになり、両手を顎にかけ相手を反らせる技法。ヨガでいえばコブラのポーズ、全身の血行改善と胃腸の働きをよくする効果があるとされる。二人ヨガでは、仕手は腹式呼吸となり、受けは自然呼吸となるのが特徴である。ただ、大東流の呼吸法はヨガの如くゆっくりやるものと違い最も激しいものである。
現代はストレス病が20人に一人ともいわれ、特に中高年増えている。ストレスによって副腎皮質ホルモンが血管を縮め、血行障害が発生し酸素不足に陥るのである。これを解消するには、運動が一番良い。ゴルフもよいが、町中にあるゴルフ練習場では今一つだ。郊外の緑豊かなゴルフ場が良いが、毎週のように出かけたらお金が足りなくなる。安上がりな酸素療法が大東流の呼吸法なのである。

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