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武道の極意・秘伝集18

6また、心意識ということもあり、心とは敵を一体に広く見るところ、意とはかくの如くせん、か様にせんと思うところで、識とはいよいよ見留め、その思うところをなしたるをいう。故に向こうを打つには意のところを打つべし。意とはすなわち起こり頭にて、“どかどか”と起きるところなり。しかれどもその“どかどか”のところにて、この方より打ち・突きを出せば、必ず相打ちになるものなり。よって“どかどか”と言うところにて、打ち・突きを出せば勝利は疑いなかるべし。各々工夫あるべし。
“どか”とは向こうの起こらんとする頭、打たんと思う頭にて、向こうの発意のところなり。
補足説明:敵をよく見て、その意図を察し、それにより我の対応を変える必要があります。敵の頭の中は見えませんから、実際に見えるところから、それを察知するしかありません。新陰流兵法では、このことを三見之大事といいます。上泉伊勢守が整理したその内容は、①太刀先、②拳、③顔を見よ、というものです。①は太刀の長さ、刃筋、構え、間合を確認します。②拳が動かなければ太刀は動きません。③顔から相手の意図を察知するのです。敵が我が顔を見ていれば、伺い待っているのでそのまま斬り込む。敵が我が拳を見ていれば、こちらから動きを仕掛け表裏に勝つ。敵が我が太刀先を見ていれば、機をはかり無拍子に斬り込む。といった具合です。

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