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大東流と無刀取り10

無刀取りについて、兵法家伝書では、「身構え・太刀構え・場の位・遠近・動き・働き・付け・懸(か)け・表裏といったことは、ことごとく無刀の心得」とありますが、突き詰めると、身勢(身構え・姿勢)と間合が最も重要なのです。自分の姿勢が整えられれば、力を通すことが容易になりますから、受けることも、技を仕掛けることも、簡単にできます。後は、相手との関係性である間合です。これは普通、相手との空間的な距離を指しますが、この距離が限りなく0(ゼロ)になっても、間合の考え方は共通なのです。いずれも、見聞きすれば、「何だ、そんなことか・・・」思われるでしょう。が、実際には非常に難しい、体得することは容易ではないことは修行者であれば誰でもわかります。
ここまで、新陰流兵法における無刀取りについて、紹介しました。

次は江戸柳生系合気柔術です。こちらは、素手が前提なので、アプローチが異なります。
日本伝合気柔術における江戸柳生系合気柔術には、教外別伝として「大東流合気杖」、すなわち杖の特性を活かした技法があり、これを通じて身勢と間合等を学ぶのです。こちらも、その骨格を整理すると次のようになります。
 杖の単独操練→相対動作(杖対杖)→組形(杖対太刀)
 太刀(小太刀)の単独操練を併習→相対動作(太刀対太刀)
  →組形(杖対太刀)
 太刀対杖→太刀対小太刀→太刀対素手(懐剣・鉄扇)
  →小太刀対素手(同)→素手対素手

なお「大東流合気杖」については、鶴山先生が『図解コーチ護身杖道』を著し詳述しています。

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