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技法真髄15

5手首を掴む事
手と足と腰の心よりの一致は心身を守るには最も必要な事で、ことに人を導くにも、また導かれるにも手によってなされる。
一方で導いておいて、一方で倒すこれを良く理解しなければならぬ、敵が引こうとしたときには、まず敵をして引く心を起こさしめ引かすべく仕向ける。武術の鍛錬が出来てくると敵よりも先に、敵の不足を満足さすべくこちらから敵の隙、すなわち不満の場所を見いだして技をかける、この敵の隙を見いだすのが武道である。(続)

補足説明:技法真髄でも項目分けされているように、攻撃方法はいろいろあります。中でも手首取りは重要な稽古法です。
これについては、「手首を掴まれることなど実際(実戦的)にはない」との発想からこれを軽視する人たちも多くいます。大東流合気柔術では片手取り・両手取りはそれぞれ対太刀の間合を覚える技法である、との表向きの理由がありますが、本当はこの稽古法が最も効果的なものだから重視するのです。すなわち、細かな運動制御が可能で、敏感なセンサーを有する手を使って技法と感覚(力感・一体化感など)を磨いていくのです。これが分かるようになると、手以外の部位や得物を通しても同じ制御や感覚が得られるようになります。このことについては、現在では手・手指の運動・感覚機能は大脳皮質において最も広い分野を占めていることが医学的に証明されています(空間概念地図)。

ところで、技法真髄はこれが書かれた昭和初期という時代背景を受けた表現が多く見られますが、そこは少し差し引いて解する(表現も一部換えたところがあります)のがよいと思います。

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