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陰陽・合気と気合(上)

2020年放送のNHK大河ドラマ「麒麟がくる」で堺正章が演じた京都の医師望月東庵のモデルとされる曲直瀬道三(まなせどうさん)の話から始まり、虚実陰陽法の話に展開していく鶴山先生のメモです。なお、この原稿を整理する際、鶴山先生が久琢磨から伝授された「当身活法」中に獣活(医活制御の法)として馬に対する制御法の記載があることを思い出し、それがなぜ記載されていたのかが理解できたのでした。

戦国末期の医者、曲直瀬道三は李朱医学(中国医学の理論と治療法の一つ)を研究し日本一の名医として評判だった。最初、足利義輝(室町幕府第13代将軍)に仕え、豊臣秀吉の専属医となり、徳川家康も秀吉の後を受け専属医とした。熊本の細川公が原因不明の病気で悩んでいることを聞き、曲直瀬の弟子を派遣した。その後、細川公は自分の師として李朱医学の研究をするようになった。この李朱医学は、気の理論による診断治療を用いている。すべての病は虚実の気からなるとする考え方から、その虚を発見し漢方薬を投薬する方法である。
ところで、戦国武将は東洋医学を自らの武将学として自得していた。その実例が家康であり細川公でもある。その一例に馬の病気診断法がある、武将にとって馬は戦争の道具であり必需品で、馬の体調は戦力に影響するからである。そのため馬の研究は進んでおり馬鍼法まであった。武田信玄の武田軍団では刀傷の血止めに馬糞を利用したり、馬尿法も行っていたという。
徳川時代になると、武士の規律の規範として朱子学が採用され、陰(心)・陽(体)のバランスをとることが、特に精神のコントロール法が重視された。

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