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極意秘伝のはなし25

さて、中山先生が引用した「小栗流和摭(せき)語録」とは、25箇條からなる小栗流和術の心法を拾い上げた(摭=拾う)語録という意味で、そこには道歌も記されています。折角の機会ですので、その概要を紹介しましょう。

1事(技)先並びに歌
柔は組形だけだと思ってはいけない。万物の柔弱・剛強・遅速・転変の理を一身の動静によって教えるためのものなので、先ず、手足・骨・関節の使い方を技によって始めるのである。
他芸の教えに表裏というものがある。当流ではこれを事という。元来、表裏・陰陽は同じ意味であるが、俗に詭謀(人をおとしいれようとする計略)を表裏というので、ただ、詭計(人をだます計略)だけでは、勝つことはできないという道理を示すために、陰陽といって、事にて理を導けば、少しも詭謀の心はないのである。ただ、正しい理合をもって対応すべきである。
諸芸も道理をもってやれば、出来ないことはない。弓馬・操刀・相撲・盤面(囲碁将棋など)の勝負、そのほか万事・万物・生死・転変それぞれに道理あり。一理に通じれば万理に通じるのであるから、武士の志を立て、一心に稽古をすれば、師に等しくも、越えるほどにもなれるのである。その心持ちを歌に記しておく。
 師匠とは 何を厳問 苔筵(こけむしろ) その古は 人の弟子なり

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