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武道の呼吸法10

(補足説明-承前)
しかし何といっても、極め付きは呼吸体操(呼吸躰道法)です。
大東流三大技法の合気之術の入門技法・手解にして実は極意、これが呼吸体操です。合気之術ですから柔術・合気柔術の呼吸法はマスターしている前提で、自然呼吸(口呼鼻吸法)を採用していますが、柔術・合気柔術を包含する設定の合気之術なので、腹式呼吸(順・逆・潜・へそ)や提肛呼吸(吸気=会陰部の引上げ、呼気=会陰部のゆるめ)を用いた動作も有効です。

呼吸体操では、呼吸と連動した動作を覚えた後、意念を用いる稽古に入ります。意念とは、注意力を体の一部(手掌・足裏など)に集中することです。そして、雑念を払うことで、体の各部の状態を把握できるようになることが求められます。なお、呼吸体操では、丹田への集中は特に求められていません。鶴山先生は、呼吸体操をやれば気功法を習う必要はないと語っていましたが、既述のとおり呼吸体操が動功そのものといえるからです。さらに呼吸体操は、動作の一つ一つに格闘の術理が凝縮され、柔軟をもって力に対抗する象徴的な単独操法として組み立てられています。

最後に「武道の呼吸法7」において「出力の源泉として武術に活用する」と説明しましたが、この方法について触れておきます。一般に筋力(靱帯を含む)の武術的使い方には、原則があり呼吸力もこの点同様です。そして、筋力をその本来目的に使ってしまうと我々が必要とする出力は得られません。呼吸でいえば呼吸筋群を呼吸に使ってしまえば出力は得られないということです。呼吸筋群を使いながら呼吸をしないことで「出力の源泉として武術に活用する」のです。これは他の筋肉でも同じです。例えば、お辞儀をするけどしないで出力するなどです。

呼吸法の原理を知り、健康維持に武道への活用に活かしたいものです。(完)


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