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極意秘伝のはなし18

地之巻より
無拍子之事
当流では無拍子という事が最も重要である。世に人気の和(やわら)、捕手というのは拍子の表裏の間隙をついて勝利を決定するものが多い。無拍子はこれとは違って、敵に表裏の拍子を用いず、無二無三(一つの技法)で対応するにしても、敵の拍子に乗らず、歪みなく正しい姿勢で、正神心気を不動にして対応すれば、気は満々とみちて、敵の強弱・邪正・表裏・遅速の兆しを事前に察知し、敵が秘術を繰り出しても、これに応じて変化し、勝利を得ることができる。拍子には2種類ある。軽く浮き立つの皮肉の拍子といい、重く静かなのを筋骨の拍子という。浮き立つ拍子を受けて、勝利を得ることはたくさんあるけれど、危ないことであって、真の勝利ではない。拍子に出来不出来、遅速があるからである。重い・軽いの拍子を用いず、熟得した後は、捌きに伴って自然に拍子が生じても、これを用いない事。説明したとおりである。

気体之事
気は体の満つるところである。気が起こるのを陽といい、気が納まることを陰という。当流はもっぱら気の扱いを教えて技をなし得る、と言うけれど、気は目に見えるものではない。体の備えが悪ければ、気も同様に、たるんでしまい効能を発揮できない。平生安坐した形は、理気満々として安体無事である。(続)

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